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10. ページ12

朝、目が覚めた。暖かくて、少し息苦しい。


お腹に回された腕から目線をあげれば、まだあどけなさが残る少年の顔が目の前にあった。



「…………はよ、」



私の視線に気づいたのか、半間くんは目をうっすら開けた。顔が少し緩んでいて、彼の頬を指でなぞる。


その指を掴んでカプリと咥えてきたので、指を折り曲げて歯を弾く。これ、ちょっと痛いんだよね。


くつくつと、小さく笑いあった。









「なぁ、買い物行こーぜ♡」



シャワーを浴び終えた上裸男が突拍子もなく言った。
もちろん答えは、



「いやよ。半間くんデカくて目立つし、どーせ指名手配されてんでしょ?」



Noだ。リスクがありすぎる。もともと私なんて、闇市で買うような人間なのだ。




「あー?だりぃこというなよ。服もねぇし食いもんもねぇし、いーじゃんかよぉ。」




湿った肌で抱きしめられ、不快感を覚える。


私は顔が割れてないからいいが、半間くんの道連れだけは御免だ。

おねがいーだの行きたいーだの駄々をこね続ける半間くん。うーん、




……でもたしかに生活必需品を揃える必要性はある。



…………あれか、サツにバレなきゃまぁ、いいのか。







「半間くん未成年だったよね?」


「そうだけど。」


「……顔バレはしてないし、いっか。その代わり、サツ見つけたらすぐ帰るからね。」


「ばはっ、さいっこーのデートになりそ♡」


「デートじゃないよ。……あ、お金。」


「俺所持金500円。」


「でしょーね。」



私は大きなため息をつきながら重い腰を上げた。



アパートの1階にあるポストを開ける。



茶封筒の中身を確認して、また部屋へと戻る。




「うは♡なにその大金!」




茶封筒から出した万札を数えていると、後ろから目をお金にした半間くんが覗き込んできた。






「んー?……うん、全額あるね。」




この確認作業は欠かせないのだ。万札一枚でも足りなかった場合、私は電話の主を殺さなくてはならない。






「じゃ、行こーか。買い物。」



「帰りゲーセン寄ろうぜ♡」



「だめ。必要なもの買ったらすぐ帰るから。」









押し入れから、一着だけ持っていたパーカーを引っ張り出す。



そのパーカーのデザインを見て驚愕した。




「ばはっ、俺とおそろいじゃん♡♡」





違うのにしたいが生憎これしかない。



笑い転げる半間くんに帽子とマスクをわたし、玄関を後にする。







不安しかない買い物がスタートした。

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作者名:すき子 | 作成日時:2021年8月14日 18時

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