9普通の味覚とは ページ10
翌日。
目が覚めた私は、布団から起き上がり机に向かった。
やけに頭が痛い。
昨日は歓迎会と称して、野郎共の飲み会が行われたのだ。普段お酒を飲まない私は、近藤さんに勧められしぶしぶ口にしたのだが。
「……どうしようか」
筆を手に持つが、何を書けばいいのか全くわからない。というより、昨日はただの飲み会が行われただけなので、書くことが無いのだ。
私は筆を置き、ゆっくりと立ち上がった。
そして真選組の制服を身にまとう。
「……ふぁ〜」
あくびを漏らしながら、私は朝食を食べるべく食堂へと足を進めた。
途中、すれ違う隊士と挨拶を交わす。
今日は、土方の仕事でも手伝うか……。
副長補佐としての初仕事だな。
私が真選組の"監察官"だと知っているのは、局長である近藤勲、副長の土方十四郎、そして監察方の山崎退だけらしい。
山崎というのは、ここに来たときに出会った幸の薄そうな顔をした男のことで。
ガラリと食堂の扉を開ける。
すでにむさ苦しい男で溢れかえっている食堂は、なんとも騒がしい。
「あ、Aさんおはよーございます」
「おはよう」
女である私を、拒絶することなく、すんなりと受け入れてくれる真選組は、本当にいいところだと思う。
きっと近藤さんがいい人だからだろう。
私は女中から生姜焼き定食を受け取り、空いているイスに腰掛けた。
「……いただきます」
両手を合わせ、懐からアレを取り出す。
タバスコとかかれた赤いもの。
それを迷うことなく生姜焼きにぶっかけた。もちろんビンが空になるまで。
そんな私に気がついた隊士は、まるでこの世の終わりでも見たかのような表情を浮かべた。
なんだろう、うらやましいのか……?
「食べたいのか?」と尋ねれば、両手をブンブンと横に振られた。
よくわからないまま、注目を浴びてしまった私は気にすることなく、真っ赤になった生姜焼きを口にするのだった。
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アオト(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。な、泣いたですと!?作者として非常に嬉しいです。今のところ続編は考えてませんが、もし新作のネタに困ったら作るかもしれませんf^_^;) (2015年12月11日 23時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - とっても面白いです!!良すぎて読みながら泣いてました!!続編に続いて欲しいです!! (2015年12月11日 15時) (レス) id: cfd050b9dc (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 通りすがりの加藤さんさん» いえいえ!こちらこそ長い間あやふやにしてすみませんでした。 (2015年6月25日 22時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの加藤さん(プロフ) - アオトさん» なるほど!ご説明ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年6月25日 7時) (レス) id: 204089a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - イチゴさん» イチゴさんありがとうございます!説明下手ですみません。もし続編or番外編を書くことになったら、この夢主復活までのお話を書きたいと思います(^_^) (2015年6月24日 20時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月26日 21時