36切りひらけた道 ページ37
「副長、船内にも人はいないかと……」
という隊士の声に俺は溜め息をついた。
この船はハズレだったか。
「土方さん、ここはさっさと引き上げやしょう」
「……そうだな」
「じゃあ、最後に1発」
カチャリ、と聞き慣れた音に俺は慌てて止めにはいる。
「おい総悟!危ないっつってん……」
──ドガァァンッ
総悟のバズーカから放たれた弾は見事船に直撃し、船首に大きな穴を開けた。その衝撃で、船がひどく揺れ思わずよろけてしまう。
「ふざけてんのかテメェは!」
「俺のどこがふざけてんですかィ」
「その態度だよ!少しは改めろ!」
俺の言葉に耳を傾けることなく、総悟は肩をすくめた。
──プルルルル……
「大体なァ、お前はいつも周りを振り回しすぎなんだよ。ちったァ上司の言うことくらい聞け!」
「え?上司?俺の上司は近藤さんだけですぜ」
──プルルルル……
「……土方さん、電話が鳴ってまさァ」
総悟に指摘されハッとする。
急いで携帯電話を取り出してみれば、画面に表示されたのは【Aさん】の文字。俺の様子に気がついた総悟と近藤さんが近づいてきた。
「Aさんですかィ?」
「……ああ」
「トシ、早く電話にでたほうが……」
「あ、ああ」
自分でも不思議に思うほど、手が震えている。
ボタンを押そうとする指もかすかに震えていて、力を込めてようやく押すことができた。
耳に当てれば、電話越しにAさんと思われる荒い呼吸音が聞こえる。彼女の言葉を待っていると……
『……もしもし』
久しぶりに聞いた声。何かが、身体の底から込み上げてくるような気さえした。
いや、まだ安心してる場合じゃない。
「Aさん、アンタ今どこにいるんですか」
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アオト(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。な、泣いたですと!?作者として非常に嬉しいです。今のところ続編は考えてませんが、もし新作のネタに困ったら作るかもしれませんf^_^;) (2015年12月11日 23時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - とっても面白いです!!良すぎて読みながら泣いてました!!続編に続いて欲しいです!! (2015年12月11日 15時) (レス) id: cfd050b9dc (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 通りすがりの加藤さんさん» いえいえ!こちらこそ長い間あやふやにしてすみませんでした。 (2015年6月25日 22時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの加藤さん(プロフ) - アオトさん» なるほど!ご説明ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年6月25日 7時) (レス) id: 204089a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - イチゴさん» イチゴさんありがとうございます!説明下手ですみません。もし続編or番外編を書くことになったら、この夢主復活までのお話を書きたいと思います(^_^) (2015年6月24日 20時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月26日 21時