26狂ってしまった善悪 ページ27
数時間前のこと。
──……。
「……はァ」
目を覚ましてから、どれ程の時間が経ったのだろう。暗闇なのは変わらずで、ワケのわからない機会音も止まること無く鳴り続ける。
その時──、
「意識が戻ったようだな」
ガラリと開かれた扉の先には桐島が立っている。溢れ出るような光に刺激され、思わず目を細めた。
手足は縛られたままなので、身動きがとれない。銃で撃たれたであろう足や肩からもわずかに出血している。
「そんなに睨むんじゃねェよ。まだアンタは殺さない」
"まだ"という言葉をやけに強調した。
私は口を閉ざしたまま。
「あ、そうそう。舌を噛み切って自害するなんてバカなマネはすんなよ。沖田A、お前ならやりかねないからな」
「……ふん、私は生きてここを出るつもりだ。死ぬ気など毛頭無い」
「そりゃこちらとしてもありがたい」
ほくそ笑む桐島。こいつの考えていることは大体予想がつく。人質として十分価値のある私を利用して、真選組をおびき出すつもりなんだろう。
近藤さんの首をとるのが目的なら、一刻も早く真選組に連絡しなければならない。
「……そろそろ奴らも動き始める頃だろう」
妖しく笑う桐島は、狂気じみていて。
「1匹のネズミを逃がしておいたからな」
不意に浮かんだ、監察である山崎の姿。
コクリと唾を飲み、私は後ろで縛られている手首を動かし始めた。これは今さっき気づいたことだが、縄の結び目が緩んでいるのだ。少し力を加えれば外れる可能性もある。
桐島に悟られないよう、慎重に縄に力を入れながら捻る。
「……そういえば、さっきから鳴っているこの機会音は何だ?」
怪しまれないよう、話を投げかけた。
どこからか鳴り続けているカチカチと規則正しい音。
「ああ、それは。
──ただの時限爆弾の音だな」
「…………は?」
何の迷いも無く平然と答えるそいつに、
驚愕の声をあげてしまうのは仕方の無いことだと思う。
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アオト(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。な、泣いたですと!?作者として非常に嬉しいです。今のところ続編は考えてませんが、もし新作のネタに困ったら作るかもしれませんf^_^;) (2015年12月11日 23時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - とっても面白いです!!良すぎて読みながら泣いてました!!続編に続いて欲しいです!! (2015年12月11日 15時) (レス) id: cfd050b9dc (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 通りすがりの加藤さんさん» いえいえ!こちらこそ長い間あやふやにしてすみませんでした。 (2015年6月25日 22時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがりの加藤さん(プロフ) - アオトさん» なるほど!ご説明ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o))) (2015年6月25日 7時) (レス) id: 204089a6f3 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - イチゴさん» イチゴさんありがとうございます!説明下手ですみません。もし続編or番外編を書くことになったら、この夢主復活までのお話を書きたいと思います(^_^) (2015年6月24日 20時) (レス) id: d8cd4dea01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月26日 21時