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行き慣れたAさんの部屋に入り、用意されてた座布団に腰を下ろす。ピンキーリングは後ろに隠したまま。
「今日は、何の日かご存知で?」
そう尋ねると、彼女は首を傾げながら「わかりません」と答えた。やっぱり。
「ホワイトデーってやつですぜ」
「あ、ホワイトデーですか!だからお菓子が貰えたんですね」
「……え?お菓子?」
聞き捨てならないことを言うAさんについ声がつまる。
「私が義理チョコをあげた隊士から、クッキーや飴を貰ったんです」
義理……そうだよな。何焦ってんだ俺。
コクリと生唾を飲み込む。そしてようやく、ピンキーリングの入ったケースを差し出した。
「これ、俺からのお返しです」
目を丸くしながら驚いたAさんだが、その数秒後、嬉しそうに微笑んだ。
「沖田さん、ありがとうございます。すごく嬉しいです」
と、ケースを受け取ろうとする彼女の手を俺は止めた。
「右手、出してくだせェ」
「は、はい」
恐る恐る、というように伸ばされた右手。俺はケースからピンキーリングを取り出し、彼女の小指へと静かにはめた。
サイズもどうやらピッタリで。
色白のAさんが身につけると、桜色のストーンがより映えて綺麗に見えた。
「大事にしますね、これ」
「……今度は……」
「今度は?」
「──もっと綺麗な結婚指輪を用意してみせますから。期待しててくだせェよ」
「……わかりました」
目を細めるAさんに、つられて俺も笑ってしまった。
最初はどうなるかと思ったが、わりとうまくいって良かったと思う。来年はもっと素敵なプレゼントを渡せる男になろう。
終わり。
▼銀我一等星さんリクエストありがとうございました。
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特撮オタク女子 - とても面白かったです!ありがとうございます! (2019年8月15日 20時) (レス) id: f9b0269678 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - すごくおもしろかったです! 文を書くのがお上手ですね〜! このお話に出会えて良かった! (2018年3月2日 18時) (レス) id: f7a865ee48 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 美空さん» 美空さんコメントありがとうございます!返事がかなり遅れてしまい申し訳ございません!わ、お気に入り作品に登録してくださり感謝です!ましてや作者にまで登録だなんて……!?とても嬉しいです。これからも頑張ります! (2018年1月13日 21時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
美空(プロフ) - 悪女のいろは、読ませていただきました!ほんとに面白かったです(〃▽〃)読み出したら止まらなくなっちゃって、お気に入り作品&作者に登録させてもらいました!(^o^)/ (2017年2月5日 3時) (レス) id: c3845c95d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴村 - 面白いです (2015年5月31日 17時) (レス) id: 56954dcc8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月20日 18時