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きっと神威さんの部下も苦労してるんだろうな。
◆ ◆ ◆
そんなこんなで、お会計を済ました私達。
「じゃあねーA。今度地球に来た時にもまた案内よろしく」
と、神威さんは手を振りながら歩いて行ってしまった。
団子を全て食べ終えるのに1時間もかからなかったのは本当に驚いたな。
「……さて、と」
今日はもう着物を買うのは無理かと思ったが、今時間を確認してみると、まだまだ余裕があることに気がついた。
多分、神威さんの団子を食べるスピードがすごかったからだろう。
心の中でほんの少し感謝しつつ、意気揚々と呉服屋へ足を進めた。
──が、
「そこの女」
いかにもガラの悪い男が1人、私の前に立ち塞がった。
「丁度暇だったんだ……俺と遊ばねェか?」
これは恐らく、ナンパというもので。迫力のある男の姿に後退りしてしまう。
「困ります。今から用事が……」
目を合わせないようにしながら、そそくさと通り過ぎ……
「おーっと、逃がさないぜ?」
……ることはできなかった。
ずいぶんと厄介な事になってしまった。このままでは買い物に行くことができないうえに、名前も知らない男の遊び相手になってしまう。
「向こうで彼氏が待ってるんです」
とっさに思いついた嘘をつく。
しかし、私の言葉を聞いても男の態度が変わることは無かった。
「けっ、どうせヒョロッとしたモヤシ男なんだろ?そんなやつより俺と遊んだ方が絶対楽しいって」
「……あの、本当にっ」
ぐいっと強く腕を引かれる。
「ほら、さっさと行くぞ……」
「──ねェ、何やってんの?」
この場に似合わない、明るい声。
「……か、神威さん!?」
なぜか彼がいて。
相変わらずのニコニコ笑顔だが、神威さんの手はしっかりとナンパ男の首根っこを掴んでいた。
「な、何すんだテメェ!」
今にも足が浮いてしまいそうな男。
「何って……彼女がナンパされてたら助けるのが彼氏の役目でしょ?」
「か、彼氏!?お前が!?」
「ヒョロッとしたモヤシ男だと思ってた?」
「くそっ!」
ジタバタと暴れる男を見て、神威さんは笑いながら腕の力を弱めた。ドスッと鈍い音と共に男の身体が地面に落ちる。
そして私達を睨みつけるように、男は走り去ってしまった。
「あらら、逃げちゃったネ。どうするA?追いかけて殺す?」
「……いや、大丈夫ですよ」
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特撮オタク女子 - とても面白かったです!ありがとうございます! (2019年8月15日 20時) (レス) id: f9b0269678 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - すごくおもしろかったです! 文を書くのがお上手ですね〜! このお話に出会えて良かった! (2018年3月2日 18時) (レス) id: f7a865ee48 (このIDを非表示/違反報告)
アオト(プロフ) - 美空さん» 美空さんコメントありがとうございます!返事がかなり遅れてしまい申し訳ございません!わ、お気に入り作品に登録してくださり感謝です!ましてや作者にまで登録だなんて……!?とても嬉しいです。これからも頑張ります! (2018年1月13日 21時) (レス) id: a3077fa68a (このIDを非表示/違反報告)
美空(プロフ) - 悪女のいろは、読ませていただきました!ほんとに面白かったです(〃▽〃)読み出したら止まらなくなっちゃって、お気に入り作品&作者に登録させてもらいました!(^o^)/ (2017年2月5日 3時) (レス) id: c3845c95d7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴村 - 面白いです (2015年5月31日 17時) (レス) id: 56954dcc8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオト | 作成日時:2015年2月20日 18時