飛蝶 - 最愛の人 - (ページ10)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:31,657 hit

．ページ10

それからすぐに荷物をまとめて2日後の今日、
この家を出ることになった。

小『忘れもんない？』

「はい。すいません、わざわざ来てもらって…」

小『ええよ。ほんなら、行こか』

小瀧さんと一緒に車に乗って、あの家へと向かう。

小『言い忘れてたんやけど、これからは " 濵田組 " って言うようにして。それと、他の組のやつと交流を持つのは規則違反やから。』

「わかりました」

小『まぁ、慣れるまでは大変やと思うけど。なんかあったら言うて。』

「ありがとう、ございます。」

私はお金を支払う側なのに、なぜか、待遇が良すぎるというか。

これも、あの人が企んでることなのかと思うと少しだけ怖い。

小『着いたで』

一度来たことのある場所。

最初来た時より、少しだけ違う場所に見える。

小『荷物は勝手に運んでくれるから。とりあえず、濵ちゃんの所行こう』

「はい、」

一番会いたくないけど、これから一緒に居なきゃいけないんだもんね…

コンコンっ、

小『濵ちゃん、入るで』

前にも入った広い部屋。

小瀧さんがノックをして、ガチャっと扉を開ける。

「、失礼します……」

中に入ると薄暗い空気を放って、なにやら仕事をしている様子だった。

小『Aちゃん連れてきたで。荷物も全部移動し終わってる。』

『わかった。ご苦労やったな、望』

小『全然ええよ。じゃ、俺は外に居るから。』

「えっ……」

小『Aちゃん、頑張ってな～』

手を振りながら部屋の外へ行ってしまった小瀧さん。

この空間に二人だけって…

『そこ座って』

「…はい」

彼の目の前の椅子に座ると、新しく渡された正式な契約書。

『お前は今日からこの組の一員になる。規則を破れば相当の罰を受けてもらうし、使えやんと思ったら即座に切らしてもらう。わかったら、そこにサインして』

決して甘くは無いこれからの生活。

覚悟するのも当たり前。

でも、この人と再会して状況が一変して。

「よろしくお願いします…」

私はまた、あなたの近くにいる。

それがどういう事か、知りもせずに…