飛蝶 - 最愛の人 - (ページ30)

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車に乗って会食の会場に着けば、濵田組の人が沢山集まっていた。

小『Aちゃん、はぐれんようにな』

「はいっ、」

二人の後ろについて、すれ違う幹部の人たちに立ち止まっては挨拶をする。

強面の男性たちの中に、完全に浮いてる私。

こういう組織って女の人いないの？

小『なぁ、濵ちゃんあれって…』

小瀧さんが見る先に、紫のワンピースを着た女性が一人。

良かった、女の人もいるじゃん。

そう思っていると、こちらに気づいて一目散にあの人の元に駆け寄った。

そして、

『会いたかったよ、崇くん』

大勢いる中でも人目を気にせず抱きついたその人は、

『連絡くれないから来ちゃった』

後ろにいる私をチラッと見てすぐに逸らした。

『…わかったから、とりあえず離れて』

そう言った彼に、素直に応じたものの。

まるで私たちが見えていないかのように、そばを離れようとしない。

「…小瀧さん、あの人は……？」

小『濵ちゃんの幼馴染み。親同士も昔から仲が良くて、見合いの話も出とるらしい』

確かに親しい雰囲気は出てるけど…

小『濵ちゃんは好きじゃないからって断ってんねん。俺もガツガツ系は好きじゃない』

「まぁ……」

私もあまり関わらないタイプではあるかな。