先生のNGワード ページ2
「せんせー、ここ分かんなーい」
「………根本さん、質問は手を挙げてね」
「はーい、大問4の(2)が分かりませーん‼」
高校生にでもなれば物分りが早くて助かる……というわけでもなく、年を重ねるにつれ容量は増えてはいくがそれを上回るほどの暗記物や思考問題があるから大変だ。
私は苦笑いを浮かべつつ黒板へと向けていた身体を生徒の方へと移す。
あまり広くはない教室に生徒は5、6人程度。
少ないと感じます?いえいえ、本当に狭いこの教室。この人数で移動できるのがやっとなんです。
なんて改めて教室の狭さを実感したところで生徒達一人一人と目を合わせる。
うん、手は動いているものの皆こちらを向いている。
「そこはかなり応用のきいた問題なので一緒に解きましょう
皆さん一度手を止めて前を見てください」
やはり、高校生にもなると物分りがいい。
先程まだ動いていた手をぴたりと止め彼等の視線が私へと注がれる。
あまりこういったのは慣れないが、こちらにも学力向上がかかっている。手は抜けない。
そんな思いで解説の書き込んである自身のノートをその解説と共に黒板へと移していく。
最初は首を傾げていた生徒達もだんだんと納得してきたようで、目にハイライトがかかっている。
良かった、理解してもらえた。内心ホッと胸をなでおろしながら、まだ消化し切れていない質問について答えていると、授業が終わりのチャイムが教室へ鳴り響いた。
それを合図に生徒は私に挨拶すると、勉強からの開放感か帰りの支度をしながらたのしそうに駄弁っていた。
若いっていいなぁ、なんて思っていると一人の女子生徒がトテトテとこちらへと近づいてくる。先程大きな声で質問してくれた、根本さんだ。
「ね せんせ、聞いて聞いて!
私ね、浦島坂田船のライブ当たったの‼」
「えっ、浦島坂田船…?」
「そう‼先生知ってる⁉
歌い手さん4人のグループなんだけどね!」
「そ、そうなんだー…」
できれば、今その話題はやめて欲しかった…なんて、言えたらどれほど楽か。
けれど好きなものを語る彼女の瞳はあまりにも輝いていて、とても話を終えられる雰囲気ではない。
そういえば、彼女は今日迎えだったはずだ。その話を切り出すと、彼女は「ヤバッ」と言って急いで教室を出て行った。
「浦島坂田船……か、」
自分の声が悲しく教室に響き渡ると同時に、私はTwitterのメッセージ画面を見つめていた。
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久住花子 - まっww塾一緒なんですけど← (2020年1月10日 23時) (
レス) id: a45da1f95d (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - over the rainさん» いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます…! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 了解しました！ありがとうございます！ (2019年12月25日 17時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - かんな鬼灯さん» ただいまです、ありがとうございます！頑張ります (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます！その言葉を胸に止めて頑張らせていただきます (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：定春 | 作成日時：2019年8月28日 1時
