巻き込まれた8月 ページ18
今年の夏はどこかおかしいらしい。
毎日ニュースでは熱中症が、とか猛暑日が、とか言っているし、なによりも。
「おいA、早く教えろよ」
目の前に、なぜか全然仲良くもない男子がえらそうに笑っている。
「……あのさ、横尾くん」
「あ、俺の名前ちゃんと知ってるんじゃん」
「それはたまたまね……」
4月にたまたま名前を覚えた横尾君のあまり見てはいけない場面にたまたま出くわしてしまって。
聞くつもりは全くなかった言い合いだけど、教室の中にいた私には逃げ場もなくて。
いたたまれなさすぎて顔もみずに走って逃げたけど、横尾君は許してはくれなかった。
その結果が、今の状況なわけで。
「とにかくさぁ、1週間後の追試がなんとかなるように教えてよ」
つまり、こういうことらしい。
期末テストの点数が軒並み赤点だった横尾君は追試をうけなくてはいけなくて、なんとしても追試は受かりたい横尾君はこの間盗み聞きした代償に勉強を教えること、という条件をつきつけてきて。
「もう北山先生にも言っちゃったし」
真っ白な八重歯を見せて横尾君は笑った。
「……このbookの意味はそのまんまじゃなくて…えっと、こういうサイト知らない?」
「知らない」
さっきまで笑っていた口元は今はくちばしのようにとがっていて。
「俺さー、まじで英語苦手なんだよね」
「それさっき古典と化学教えてる時も言ってたよ…」
「そうだっけー?」
ま、得意科目なんてあったら追試にならないか、と自分で言って自分で笑う横尾君。
「てかさ、勉強の何が楽しいわけ?」
「んー……私人付き合い苦手だから、なんかコツコツやってるほうがあってるのかも」
「でも特技があるっていいことだよなー」
「ありがと…」
「俺も野球だったらAに教えてやれるのに」
「私キャッチボールもできないよ?」
「俺キャッチャーだから今度教えてやるよ」
いつの間にか勉強の話でもなくなっていってしまって、気が付けばすっかり教室に差し込む光は赤い夕方の光になっていった。
「Aー、お礼にアイスおごってあげる」
「ハーゲンダッツでもいい?」
「ばーか、ガリガリくん一択ですー」
うだるような猛暑の中、2人でかじったガリガリくんが思いのほかおいしかった8月。
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めろんぱん(プロフ) - ソフィアさん» そのCD私も欲しいです……!!全部噛みまくりでまたそこに悶えたい……!文章ではいつも書かないのですが作品の中の横尾さんは脳内再生すると大抵噛んでます(笑)コメントありがとうございました(^-^*) (2015年10月9日 9時) (レス) id: 694980591a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - あぁ、横尾さんに耳元で囁かれる自分を想像して、悶えまくりました。いろんなシチュのセリフ収めたCDおまけにつかないかなぁと思ってしまいました。 (2015年10月9日 0時) (レス) id: 6b7ef48c3f (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 藍生あいさん» いろいろ読んでいただきありがとうございます(^-^*)みっくん、結構いつも悩みながら書くのでそういっていただけてうれしいです。不定期になりますが、こつこつ更新していきますので、また遊びにきてください! (2015年9月22日 11時) (レス) id: 694980591a (このIDを非表示/違反報告)
藍生あい(プロフ) - 大変楽しく拝見しております(ほかの作品も)こちらのみっくんもすてきですね。また執筆活動頑張ってくださいませ。 (2015年9月22日 4時) (レス) id: 50b57f5c69 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ソフィアさん» お仕事おつかれさまです(^-^*)お忙しいのに遊びに来ていただけるなんてうれしいです。昔はみっくんを書くのにかなり悩んだりしてたのですが、今回は結構すらすら書けました(過去の失敗談も役に立ちましたし……笑)。またぜひ遊びに来て下さいね♪ (2015年9月19日 1時) (レス) id: 694980591a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年9月14日 23時