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「あのさ」
「はい?」
新曲のことで打ち解けた俺たちはそのままたわいもない話をしていた。
彼女のこと。
渉のこと。
彼女の人生の中にはそこかしこに渉がいて、渉が彼女の前ではリラックスしているのもなんだかうなづけた。
「ほかのメンバーの連絡先って知ってる?」
「あ、玉ちゃんたちとはたまにごはんとか行ってます」
同い年なので…という彼女の目の前にiphoneをずっと出せば、固まるから。
「lineと番号、教えて?」
「え……私のですか」
「そう、だめ?」
せっかくちゃんとこうやって話したんだし、とか案外気が合いそうだし、とか適当なことを言ったけど、それは単に俺が彼女にもっと近づきたいってそれだけで。
半ば強引、どころか100%無理やり番号を聞き出して満足したところで楽屋のドアが開く。
「あああ!なんでいるの?」
久しぶり!と当たり前のように彼女に抱き着く玉。
「太輔に迷惑かけてないか?」
口ぶりではそんなことを言いながら彼女の頭を撫でて優しく笑う渉。
突然蚊帳の外に放り出されたようですこしだけしゃくだったけれど、彼女との絆を感じるように携帯電話をぎゅっと握りしめた。
初めて彼女にlineをしたのは3日後。
『ご飯いかない?』
そんな簡単な誘いを送るだけなのに手が震えて、やっぱりこれは恋なんだって思い知る。
もちろんこれまでまったく恋愛をしなかったわけじゃない。
この世界に入ってかっこいいって言ってもらえる機会も増えた。
でも。
それでもきらきらしたまっすぐな目で笑う、彼女がどうしてもほしかった。
最初のデートはホテルのレストラン。
次のデートは海沿いのイタリアン。
ドライブをして。
夜景を見て。
バーに誘ってみたりして。
会うたびに、話すたびにまだ緊張の解けない彼女が少しずつ俺と話してくれるのがうれしくて。
ほかのメンバーと話しているのを見るたびになにもかかわってこなかったこの何年かを悔やんだ。
「……俺と付き合って…ください」
2月の寒い日。
彼女がほめてくれたあの歌のように冷たい手を俺のコートのポケットにいれて、白い息を吐いた。
驚いて足を止めた彼女が俺を見上げるから、できるだけやさしく笑って。
「…だめ、かな」
すごく好きなんだけど、と言えば見る見るうちに真っ赤になるほほ。
そのほほをそっと手で包んで、もう一度付き合ってくれる?と尋ねる。
「……よろしくお願いします」
返ってきたその返事に、俺は彼女を永遠に大切にしようって誓った。
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めろんぱん(プロフ) - minaさん» はじめまして(^-^*)コメントありがとうございます!そして曲まで聴いて下さったんですね!このお話を書くのにどうしても使いたかった曲なので、実物を聞いていただけてうれしいです。これからも不定期更新ですが頑張りますのでまたぜひ遊びに来て下さいね! (2015年9月2日 2時) (レス) id: 694980591a (このIDを非表示/違反報告)
mina(プロフ) - 初めまして。この作品の更新を楽しみにしてます!minaです。突然のコメント失礼します(_ _) めろんぱんさんが紹介してた曲、聴きました。すごくいい曲でこの前までの自分の気持ちと同じ歌詞で泣きました。 (2015年9月1日 16時) (レス) id: 8608d5ef27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年8月6日 2時