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マネージャーにライブのチケットの手配を頼むと、案外楽にライブ最終日の関係者席を用意してくれるとのことだった。
そのライブハウスの関係者席はステージからは離れるけれど一般の人とも多少距離のある席で。
「ここなら河嶋さんも来てくれるかな」
あまり目立つ場所ではないから、いつも遠慮してしまう河嶋さんでも来やすいんじゃないかと安心して河嶋さんにメールを送る。
『ありがとうございます』
ほどなくして届いたメールはいい返事を知らせるもので、7月の終わりのライブまでに少しでも河嶋さんの好きなグループの事を知っておこうとスマホを取り出した。
「ごめん、待った?」
「いえ、今来たところです」
関係者席なんて、なんだか申し訳ないですとぺこりと頭を下げた河嶋さんにこれあげるよと大きな紙袋を押し付ける。
「これ…」
「そ、ライブTシャツとタオル」
それくらいはあったほうが雰囲気でるでしょ?というと本当にうれしそうに河嶋さんが笑う。
「俺ちょっとマネージャーさんに差し入れ持って行ってくるから先席行っといてもらっていい?」
「あ、はい」
私じゃあTシャツに着替えてきますね!といつもよりテンションの高い河嶋さんはパタパタとトイレのほうへと向かった。
グループのメンバーさんに会えるなら河嶋さんもと思ったけれど、コンサート当日にばたばたするのもよくないかと簡単にあいさつだけ済まして関係者席に戻る。
「着替えてきました」
「いいじゃん」
黒のシンプルなTシャツにタイトなボトムを合わせて。
靴もいつものスニーカーではなくてハードなパンプスで。
「その髪かわいい」
「えっ……ありがとうございます」
シンプルに後ろで結んだだけの髪型をしていることが多い河嶋さんだけれど、今日は下して編み込みをしている。
素直にかわいいと口からこぼれた言葉に河嶋さんが照れている間に、ライブが始まった。
透き通る高い高い歌声。
ゆがんだギターの音。
飾り気のない歌詞。
あたりまえだけれど俺らのコンサートとは全く違うその世界は面白くて。
ギター一本で世界を作り出せる彼女に圧倒されているうちにライブはあっという間で。
「…かっこよかったね」
「はい!ありがとうございました!」
いつもの倍…いや3倍はキラキラした目でこちらを見た河嶋さんに思わず俺も笑顔になった。
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めろんぱん(プロフ) - minaさん» はじめまして(^-^*)コメントありがとうございます!そして曲まで聴いて下さったんですね!このお話を書くのにどうしても使いたかった曲なので、実物を聞いていただけてうれしいです。これからも不定期更新ですが頑張りますのでまたぜひ遊びに来て下さいね! (2015年9月2日 2時) (レス) id: 694980591a (このIDを非表示/違反報告)
mina(プロフ) - 初めまして。この作品の更新を楽しみにしてます!minaです。突然のコメント失礼します(_ _) めろんぱんさんが紹介してた曲、聴きました。すごくいい曲でこの前までの自分の気持ちと同じ歌詞で泣きました。 (2015年9月1日 16時) (レス) id: 8608d5ef27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年8月6日 2時