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6月20日。
仕事の入り時間より早く集合をかけてきた北山は、誰より朝が弱いはずなのにやけに嬉しそうに俺らを待っていた。
「おはよ、藤ヶ谷」
「はよ」
「てか全員こんな時間から準備あるのかよー」
ほぼ同時についた二階堂がそういうと、北山はでっかい箱やら袋やらを次々とあけては二階堂に渡していく。
「これもこれも、俺らで飾り付けるから」
「はっ?これ全部?」
思わず聞いた千賀に北山は笑顔でもちろん!と頷く。
「せっかくだから俺らでやろうよ」
ノリノリな北山を前にみんなで頭を抱えて。
……そういえば、北山は表だってはしないけど誰より渉を甘やかしていた人間のひとりだった……。
「これはなにをいっても無駄ってやつかな」
「……ま、がんばるか」
今日という日に並々ならぬ気合いを入れた北山の指示で急いで準備にとりかかったのだった。

ハートのバルーンにヘリウムをいれて。
重石をつけてふわふわと浮かせる。
くす玉みたいに大きなバルーンに小さなハートのバルーンをいれてみたり、なん十個もあるバルーンをせっせと膨らませる。
バルーンを一つ膨らませては彼女のことを一つ、思い出す。
初めて会ったときの顔。
初めて見せた笑顔。
真っ赤になった顔。
寝顔。
渉とケンカしてぼろぼろになった姿。
2人で逃げるようにしていった伊豆。

彼女の「好き」も「ごめんね」も。

渉と2人で寄り添う姿も。

「ガヤさん、そろそろよこーさん来るって」
準備できてるよね?と宮田に聞かれるまで彼女のことを思い出していたけれど、不思議と悲しい気持ちはなくて。
「もっちろん」
人生で一番かっこいい横尾渉にしてやろーっと、と笑いながらそんなことを思った。






「え!これ俺のため?」
めっちゃかっこいい!とテンションをあげる渉に思わずかわいいなぁなんて笑ってしまう。
「おう、俺が世界一イケメンにしてやろうから安心して?」
「太輔あざーす」
おどけていう渉にとりあえずスーツ着てこい、と一式渡す。
「ねぇ、太輔さ」
「うん?」
「マイコのこと、いっぱいありがとうね」
「……急にどうしたの?」
「太輔がマイコを大事にしてくれてたから、ここまでこれた気がする」
こんな日だから。
こんな日、しかも顔を合わせていないカーテン越しの会話だからこそ言えた渉の本音。

「……幸せになれよ」
「…うん」

何かあったら俺がもらうから、なんて気持ちを抜きに渉と彼女の話をしたのは初めてだなんて、いまさらなことを思いながら2人で笑った。

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設定タグ:キスマイ , 藤ヶ谷太輔 , 近くて遠い、僕ら   
作品ジャンル:タレント
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めろんぱん(プロフ) - minaさん» はじめまして(^-^*)コメントありがとうございます!そして曲まで聴いて下さったんですね!このお話を書くのにどうしても使いたかった曲なので、実物を聞いていただけてうれしいです。これからも不定期更新ですが頑張りますのでまたぜひ遊びに来て下さいね! (2015年9月2日 2時) (レス) id: 694980591a (このIDを非表示/違反報告)
mina(プロフ) - 初めまして。この作品の更新を楽しみにしてます!minaです。突然のコメント失礼します(_ _) めろんぱんさんが紹介してた曲、聴きました。すごくいい曲でこの前までの自分の気持ちと同じ歌詞で泣きました。 (2015年9月1日 16時) (レス) id: 8608d5ef27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年8月6日 2時

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