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CDを返したい、といってお店を予約してもらった今日。
撮影が終わってこのあいだ行った小さな居酒屋ののれんをくぐればこちらをちらりと見た親父さんは「来てるよ」と奥の個室を指した。
個室のふすまを開ければ難しい顔をして本を読む河嶋さんがいて、あわててこちらを見ておつかれさまです、と笑顔を見せる。
「今難しい顔してたね」
「ええ…ちょっとショーのメイクの準備があって」
河嶋さんはほとんどうちの専属みたいにいつも撮影でお世話になっているけど、ほかの仕事ももちろんあるわけで…。
「ごめん、今日忙しかった?」
「いえ、大丈夫です」
もう大枠は決まっているので大丈夫ですよ、という河嶋さんに借りていたCDを差し出す。
「これありがとう」
「…すみません、押し付けて」
「ん?全然っていうかむしろ結構聴きこんじゃった」
解散してなかったらライブ行ってみたかったよ、といえばああいうの嫌いかと思ってました、と言われて。
「そう?」
「なんかもっとかっこいいのがお好きかと思ってました」
「え、なにそれ」
結構俺雑食だよ、と笑いながらなんか頼もうかとメニューを渡す。
「あ、適当に持ってきてって言っちゃいました」
ちゃんとパクチーは抜きましたよという河嶋さんにまじで実家みたいだねなんて言いながら俺もついリラックスしてしまう。
「ふふ、藤ヶ谷さんも力抜けてますよ」
「ここなんか落ち着くからさ、ついね」
そんな話をしていたところでタイミングよくビールと料理が運ばれてくる。

「じゃあ今日もおつかれさまでした」
「おつかれさまです」

乾杯をして今日のお通しの白和えを食べる。
「よければほかのアルバム貸して?」
「わかりました」
今度の撮影のとき持っていきますね、という河嶋さんの顔をまじまじと見ればなんだか疲れているなぁという感じで。
「……そのファッションショー、けっこう大変なやつ?」
「んー…まぁ大きなイベントですしね」
メイクは私だけじゃないんですけど…と言いながら河嶋さんは俺を見て。
「なんかこう…うまくいえなんですけど」
「けど…?」
「メヂカラっていうか…広い会場の一番後ろの一番すみっこの人にまでステージ上の人を印象付けたいんですよね」
「あ、わかる。俺もコンサートでドームの一番上の一番端の席の人に楽しんでもらいたいって思うからさ」
難しいよね、なんていいながらこうやって仕事の話を素直にしあえる関係っていいなと思った。

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設定タグ:キスマイ , 藤ヶ谷太輔 , 近くて遠い、僕ら   
作品ジャンル:タレント
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めろんぱん(プロフ) - minaさん» はじめまして(^-^*)コメントありがとうございます!そして曲まで聴いて下さったんですね!このお話を書くのにどうしても使いたかった曲なので、実物を聞いていただけてうれしいです。これからも不定期更新ですが頑張りますのでまたぜひ遊びに来て下さいね! (2015年9月2日 2時) (レス) id: 694980591a (このIDを非表示/違反報告)
mina(プロフ) - 初めまして。この作品の更新を楽しみにしてます!minaです。突然のコメント失礼します(_ _) めろんぱんさんが紹介してた曲、聴きました。すごくいい曲でこの前までの自分の気持ちと同じ歌詞で泣きました。 (2015年9月1日 16時) (レス) id: 8608d5ef27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年8月6日 2時

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