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「…毎回毎回言ってるけどさ」
飽きちゃった、と言った俺に苦笑いした渉は、早めにちゃんと伝えてあげなよと言った。
「あー……めんど」
「ホント女の子たちがかわいそう!」
こんな遊び人にはまっちゃってさ、と厳しいことを言いながらも渉はしょうがないな…という笑顔で俺を見る。
「太輔、今度はちゃんと『恋』できるといいね」
「なんだよ、いつだって俺は本気!」
飽きっぽいだけだし!と言いつつ、なんでずっとドキドキが続かないんだろうと頭の片隅のほうでぼんやりと考えていた。
会いたくない人物ほど会いたくないタイミングで出会ってしまうというもので。
ナナちゃんと会うのはなんだか気まずいなぁ…なんて考えていた矢先、階段の踊り場でナナちゃんとばったり出くわしてしまった。
「藤ヶ谷君!」
今日もどっか遊びに行かない?と言いながら服の裾をつかむナナちゃんに思わず逃げ出したくなったけれど、逃げ場なんてなくて。
「ナナちゃん」
「藤ヶ谷君?」
「別れよっか」
にっこり笑顔でそう言った途端にナナちゃんの瞳からあふれる涙。
つい1週間くらい前まで本当に好きだった子の涙なはずなのに、胸が痛くなるとかそんなことは全くなくて、ただただ戸惑ってナナちゃんの顔を見つめる。
「……っわたし…何かした…?」
「んー…してないよ」
俺の勝手だから、とナナちゃんを落ち着かせるために言ったその一言がどうもだめだったようで…。
「っなんでっ!だって私だけが好きって…かわいいっていったじゃない!」
「ん、ごめん」
「遊びだったの?!」
「あ、いや……」
違うよ、リナと付き合ってるときに廊下ですれ違ったナナちゃんは本当に本当にかわいくて。
ああ、この子のこと好きだなぁって思ったんだ。
でも。
「なんか、冷めちゃって…」
「…っ最低!」
思っていたことがついつい口から出ていたようで、ナナちゃんがその小さい手を振り上げて、ああまた俺叩かれるのかぁ…なんて思わず目をつぶったその時。
「お取込み中ごめんなさい、どいてくれる?」
頭の上から聞こえた声に2人してそちらを見れば、階段を5段ほど登ったところに大量の雑誌や本を抱えて何とかバランスを保って立っている女の子がいて。
「あ…ごめん」
「ううん、こちらこそ」
すれ違った時に銀の眼鏡フレームがきらりと反射した名前も知らないその子の校章のラインは、俺と同じ2年生を表す青色だった。
動き出したもの―side you― 1→←彼女との出会い 1
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時