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「やっべー、結局Aに数学聞き損ねた!」
「玉ちゃん数学何限目?」
「えーと…5限目かな」
俺当たるのに…とぶつぶつつぶやく玉ちゃん。
勉強しようとしていたのは結局最初だけで、いつも通り私たちは3人で何でもない会話をして予鈴の時間までを過ごしてしまった。
私と宮っちは2限の英語のテスト勉強が不十分だし、玉ちゃんは数学の予習が終わっていない。
…まぁ、私は勉強したってしなくたって変わらないほど英語が苦手なわけだけど。
「昼休みに教えてあげよっか」
「まじでっ?Aちょーいい人!」
ありがとう!と廊下にもかかわらず抱きついてくる玉ちゃんをよしよし、となだめていると一人だけ蚊帳の外でやきもちを妬いた宮っちまで俺も俺も!と抱きついてきて収拾がつかなくなる。
「ほらお前ら、そろそろ教室入れよ」
先生にまでそう言われてはーい、としぶしぶ別れた玉ちゃんはじゃあねーと手を振って目の前の2−Aに入っていく。
私と宮っちは2−Fだから少し小走りで教室へと向かう。
と、その時。
「さいってー!!!」
女の子の声とばちーんっというすごい音がちょうど通りかかった2−Cで聞こえて思わずそちらを見れば。
同じクラスの派手な女の子があの藤ヶ谷太輔を思い切り平手打ちしたところで。
「うわぁ…やば」
あんな修羅場本当にあるんだ…と思わずつぶやけば、宮っちにいつものことだよ、と言われる。
「昨日は違う女の子口説いてたのに、すごいなぁ」
「口説いてたからじゃない?」
あの2人付き合ってたみたいだよ、と言われてやっぱりチャラい人は何かが違うんだなぁと感心する。
「何、やっぱ興味あるんだ」
「うーん、なんていうか……恋愛には興味あるよ」
これまで誰かを好きになったことないから、ああいう感情がどうしてわくのかには興味があると言えば大きな瞳がこぼれてしまうんじゃないかって思うくらいに見開かれて。
「まじ?!だってAそこそこモテるじゃん」
「うー……正直告白されてもよくわかんなくていつも断っちゃう」
宮っちが好きだ。
玉ちゃんが好きだ。
うちの父も、母も好きだ。
本が好きだ。
全部全部、同じように『好き』。
でも特別誰かがどうしても必要だとか、傷ついても一緒にいたいだとか。
そんな感情はあいにく経験したことがなくて小説の中にだけあるものだとすら思っていた。
だから。
ああやって泣いて、怒って、恋をする彼らを少しだけうらやましいななんて思いながら横目で眺めて教室へと急いだ。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時