夏のひとコマ―前日のひと騒動― side Y ページ47
夏休みももう少しで折り返し。
今日もやっぱり俺の兄ちゃんたちは帰ってくる気配はなくて、しょうがないから俺が夕食を作っている。
「夏野菜カレー、うまいよなぁ」
味見してみるとなかなかいい出来で、太輔でも呼んでやろうかななんて思って携帯を手に取る。
最近太輔はいい意味で世界が広がったように思う。
元々女の子とっかえひっかえしていたくらいで広く浅くな付き合いは得意だったけど、今みたいに深い付き合いって俺以外にあんまりすることがなかったから。
Aのことを好きだと言い出した時は前の女の子たちとおんなじような『好き』だったであろう太輔の感情も、今ではずいぶん変わった。
あんなに悩んだり顔を赤くしたりやさしい顔をする太輔なんて。
……ちょっと前の本人に見せてやりたいくらいだ。
「うわっ…」
ちょっと考え事をしていたらカレーが吹き零れそうになって慌てて火を止める。
今度こそ太輔に連絡しようと思ったその時、俺の携帯が震え始めてびっくりして携帯を落としかけた。
「あれ……」
太輔かと思えば発信者は意外な人物で。
「もしもし…」
『わったー?電話出るの遅くねー?』
電話の向こうの能天気な声に肩がガクッと落ちる。
「…元気そうで何よりだよ…ニカ」
電話の相手は二階堂高嗣。俺の母方のいとこで今中学三年生。
母親の話だと反抗期まっただ中で難しい年頃らしい。
目つき悪いし口も悪いし人見知りだからぶっきらぼうだけど、末っ子の俺にとっては可愛い弟みたいなもんで小さいころから仲はいいんだけど…ニカから連絡があると毎回『何か』が起きる。
どうしても遊びに来る!とやってきた俺の高校の文化祭でお化け屋敷のお化けに驚きすぎて思わず手が出ちゃったのは、たしか去年だし…うん、考えると頭が痛くなるからやめよう…。
「で、どうしたの?」
『明日花火あるじゃん?一緒に行こうよ』
俺の友達も一人連れて行っていい?なんて行く前提で話を進めるニカをちょっと待ってと止めて。
「明日は高校の友達と行くから…」
『じゃあわったーの友達も一緒に行けばいいじゃん』
難しい…なんて言葉は当然ニカには通用しなくて。
「…なんでそうなるわけ?」
『え、俺が一緒だとまずい?もしかしてデー…』
「トじゃないから!ちょっと友達に聞いてるから落ち着きなさい!」
ありがとー、じゃあ!と勝手に切れた携帯を持ってしばし唖然とした俺は、明日来るであろう嵐に備えて、メンバーに謝罪とお願いのlineを送るはめになったのだった…。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時