Hate You!〈F.Taisuke〉

夏のひとコマ―補習にて― ページ46

夏休み3日目。
…つまり補習も3日目。
今は数学の補習でこのあと英語と物理も補習がつまっている。
全部一緒なのは北山くらいで、物理で運が良ければ一緒になれるかなぁともくろんでいたAちゃんは『私が赤点な訳ないでしょ』と冷たく突き放されてしまった。
数学は俺と北山と玉森の3人が並んで補習を受けている。
他にも何人か補習を受けている奴はいて、今はこの3日間の内容を振り返るプレ追試中(ちなみに本当の追試は1週間みっちり補習をした後だ)。
でも3日間やそこら復習されたくらいじゃ頭に入ってるわけもなくて…。
「なぁ…藤ヶ谷、問３できた…？」
「……だめ、ついでに問４もだめそう…」
「お前らしゃべるなって…ちなみに問２の答えってどうなった？」
両隣の北山と玉森とひそひそと問題の答えを探りあうけど、きっと3人ともわかってないから…やっぱりだめそうだ…。

「ねぇ……」
「ん？何？」
「最近Aなんか元気ないんだけど…なんかした？」
じろり、と玉森が俺たちをにらむ。
思わず玉森と一緒に北山を見れば、あからさまにそらされる視線。
「あー…やっぱりなんかしたんだ」
「……まぁ、ちょっと」
「ちょっとってなんだよ」
実は知ってるけど、なんて北山には言わずにそう聞けば逆に北山に鋭い視線を向けられて。
「でも俺も聞いたんだけど？」
「は？」
「藤ヶ谷君に抱きしめられたーってAが言ってた」
「ちょ…」
「へ？藤ヶ谷何やってんの？」
玉森の視線が怖くて、左側を向きたくない…。
「でもお前告白したんだろ？」
「は？なんで知ってんの？！」
「……ちょっとまって2人とも、何やってんの？！」
まさかそんな事態になっているとは思っていなかった玉森が声を荒げて。
「いや、お前も好きなら告白すればいいじゃん」
「……いまさら？無理だって」
あきらめたように言う玉森に、じゃあ黙ってみてろよと鼻息も荒く言う北山。
「ちょ…喧嘩すんなって」
「そもそも藤ヶ谷のことがなかったらAに勢いで告白することもなかったんだけど」
「っていうか告白したわけじゃないのに抱きしめたって何？」
ああ…両隣からの視線が痛い…。
「だからそれ……」


「お前らっっ！テスト中なんだから静かにしろ！」


それは事故で…という俺の言葉は堪忍袋の緒が切れた数学の教師からの雷で言えなかったけど、思わず顔を見合わせて。
「…っぷ…」
「俺らまじくだんねー」
「ホント、くだんねぇ」
3人で一斉に噴き出して笑ってしまった。

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