夏のひとコマ―恋とはどんなものかしら― side M 1 ページ44
夏休みの図書室は、本当に人が来ない。
いや、学期中だって全然来ないんだけどさ。
一応図書室担当ってことになってる香取先生も運動部顧問が本業で、夏は大会とか合宿とかで図書室にはまず来ないんだよね。
だから図書室にいるのは俺とAに玉くらい。
でも最近Aは無意識のモテ期突入みたいで男ばっかりあと3人ほど集まってくる。
それに…今横で力尽きてうとうとしている友人の顔はすごく幼いけど、藤ヶ谷と会ってから…そして友達になってからのAはやっぱり少しだけ変わったような気がする。
「…ん…」
Aをじっと見つめているとその大きな目が開く。
完全にずれた眼鏡をしょうがないなぁ…と直してやると、いつもよりも舌足らずなありがとう、が聞こえた。
「こんなに暑いのによく寝れるね…」
「昨日遅くまで起きてたから…」
「また大長編でも読破してたの?」
本の虫、という言葉がぴったりのAは本にはまりすぎて徹夜…なんてことも結構よくあって、朝の図書室で爆睡してる姿をたまに見かける。
「んー……じゃなくて…」
「じゃなくて?」
「…誰にも、言わない?」
「うん、言わない」
そう頷けばもう一度あたりを見渡してAも俺に向き合った。
「…へ?恋がどんなものかわからないって…」
「…言わなきゃよかった」
てっきり誰かのことが好きになったー、なんて話だと思ったら思っても見ない方向からの相談で一瞬戸惑ってしまった。
「だって、わかんないんだもん」
「うーん……恋愛とはイコール○○って簡単に答えが出るものでもないと思うんだけどね」
「……どきどきするのは、恋?」
「それだけだと恋かはわかんないよ、だってホラー映画とか見たってどきどきはするじゃん」
「でも……」
どうも俺の答えに不満そうなAはそのまんま黙ってしまって…きっともう心の中では答えが出てるんだろうな…。
「Aもっと言いたいことあるんじゃない?」
「…なんでかわからないけど、どうしてそうなったかもわからないんだけど…誰かと違うなんて思ったこともなかったのに急に『好き』って思うこと、ある?」
「…ああ、そういうこと」
「ね、ある?」
「…本に書いてない?『落ちるのが恋』って」
そう言えばああ!と急に手を打って。
「……恋に落ちるって、こういうことなんだ」
へぇ…と他人事のように感心するAにずっこけてしまう。
「で、相手は?」
わかってるんでしょ?と言えばAの顔がこれでもかとばかりに赤くなった。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時