彼の日常―side you― 1 ページ5
朝の図書室が好きだ。
本当は朝は閉館している図書室を特別に開けてもらえるのは図書委員の特権だ。
誰も来ない静寂の中で、本当に気の合った友人たちと予習をしたり朝ごはんを食べたり、好きなことをして過ごす時間。
たわいもない、何でもない毎日なのに毎朝そこで「おはよう」と言い合って、取りとめもないことを話しているのが好きだった。
「おーはよ、A」
いつものように早めに図書室にやってきて本を読んでいると突然肩をポン、と叩かれる。
「……びっくりした、おはよう宮っち」
振り向けば少し鼻の大きな、でもすごく優しそうな笑顔の私の数少ない、親友と呼べる人物―宮田俊哉が立っていた。
彼は当たり前のように私の隣に座って今日の英語のテスト勉強を始める。
「Aは相変わらず真顔で驚くよね」
そう言って宮っちの隣の椅子に座ったのは宮っちの幼馴染で親友だという玉森裕太。
「玉ちゃん…女の子に失礼だよ」
「えー…だってAあんまりリアクション大きくないんだもん」
もっと笑ったら可愛いのにー、という玉ちゃんこそめちゃくちゃかっこいいのにいつもふわふわしててちょっと眠そうで、女の子に告白されても興味がないって断ってるくせに。
私と宮っちと玉ちゃん。
中学校1年の時に本が好きだからと立候補した図書委員で宮っちと意気投合して、いつの間にか玉ちゃんとの仲良くなって。
高校受験も当たり前のように3人でここを受けて今でもこうして変わらない関係を続けている。
「A、数学教えて」
「…私、英語のテスト勉強があるのに」
「とかいいながら本読んでるじゃん」
ホント本大好きだよねー…と言う言葉にすらも顔がほころぶ。
「うん、好き」
小さいころの一番の友達は本だった。
両親は共働きで、一人っ子だったからいつも家で本を読んでいることが多かった。
おとぎ話にファンタジー、SF、ミステリー。
純文学だってノンフィクションだってお構いなしに読みふけっていた。
物語の中ならなんにでもなれる。
お姫様にも勇者にも、宇宙人にも。
小さな四角いものの中に大きな世界が入っていることがたまらなく楽しかった。
「俺も好きだよ」
「宮田は漫画ばっかじゃん」
「うっ…たまには活字も読みますぞ!」
「たしかに宮っちは英語の和訳がきれいだよね」
「そうかなぁ」
「う…俺も本読んだら英語得意になるかなぁ」
「玉ちゃんは理科系得意じゃん」
「でも数学は嫌いー」
「私も英語は苦手…」
そんなたわいもない、いつもの私たち。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時