言えない―side you― ページ40
「暑いねー…」
「ホント、絶対異常気象だ」
「Aがぼーっとしてるのもそのせいかぁ」
「ぼーっとなんか…してないもん」
放課後の図書室で3人でそんな話をしながら明日の予習をしている。
ぼーっとしてる、なんて宮っちに指摘されて思わず違うと言ってしまったけど、正直昨日から何も手につかなかったし今日の授業もほとんど覚えていないくらいに動揺していた。
昨日、みっくんに抱きしめられて告白されて。
藤ヶ谷君には突然抱きついてしまって。
藤ヶ谷君が好きだと、自覚した。
いや…自覚したとあの時には思ったけれど、家に帰って考えれば考えるほどわからなくなっていく。
藤ヶ谷君の何が好きなのか聞かれてもよくわからない。
初対面は最悪だし。
友達になってからたくさん話したというわけではないし、友達になって以来藤ヶ谷君は冗談みたいに好きだとか付き合ってとか言うことはなくなったし。
意外にシャイだな、とか。
優しくて純粋なんだな、とか。
そんなことを思うことはあったけど、別に特別な感情を持っていたわけではない。
でもどきどきした気持ちに正直になるならば、私は藤ヶ谷君を間違いなく『好き』なのだ。
きっと、自分でも気づかないうちに好きになっていた。
「……おーい、A?」
「Aホントに大丈夫?」
気がつけば私の目の前で手を振っている玉ちゃんと宮っちと目が合って、図書室にいるのにまた昨日のことを考えてしまっていたのだと気がつく。
「…ごめん、大丈夫」
「本当?具合悪いとかじゃないよね?」
心配そうな玉ちゃんにありがとうと返せば、少し考えるそぶりを見せた宮っちが面白そうににやりとして。
「もしかして……A好きな奴できた?」
「……っへ?」
「は?」
思わず玉ちゃんとぽかん、としてしまったけれど。
宮っちは妙に鋭いところがあるから、ばれてしまったのかと内心どきりとした。
「だって最近Aぼーっとしてるし、それに…なんか色気っていうか可愛くなったよ?」
「そんなことない…」
「っていうかもしホントに何か悩みがあるなら聞くからさ、言って?」
「俺も聞く!」
玉ちゃんも宮っちも心配そうにこちらを見るけれど。
もしも。
もしも本当に私が藤ヶ谷君のことを好きだとしたら。
藤ヶ谷君は前に『好かれたら冷める』って言っていた。
だから……この気持ちがもしもばれたら、嫌われてしまう。
「好きな人なんていないよ?」
それならこの気持ちは、誰にも知られてはいけない。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時