聞こえた会話 ページ39
「…やべー…めっちゃやわらかかった…」
水曜日の図書室はAちゃんと2人きりで、2人で話せる貴重な時間。
うきうきしながら出かけた図書室で、脚立から落ちたAちゃんを受け止めたときに思わず抱きしめてしまった小さな体は柔らかくて暖かくて。
図書室から出てもまだどきどきとうるさい胸を押さえて、これが渉の言う本物の恋なんだなぁ…と改めて実感する。
Aちゃんは俺の事なんて、チャラくてたまたまAちゃんに目を付けたくらいにしか思っていないんだろう。
それでも。
偶然でも抱きしめたその感触が頭から離れなくて。
「渉に話してまた相談乗ってもらおうかな」
ごそごそをポケットの中の携帯を探すけれど見つからなくて、鞄の中に手を突っ込むけれどそれでもやっぱり携帯は見つからない。
「やべ、図書室で落したかも」
携帯がないのはさすがに不安で、今来た道を引き返した。
「Aちゃ……」
俺の携帯知らない?と言いかけたその言葉は目の前の光景に驚いてしまって発せなかった。
あの北山がAちゃんを抱きしめていて。
Aちゃんもおとなしく北山の腕に抱かれていて、あまりにイラつくその光景に目を背けたくなるけれどどうしても2人の会話が気になってしまって図書室の入り口わきにそっと隠れた。
「…あのころの約束、まだ有効かな」
「俺Aのこと好きなんだけど」
北山がAちゃんに言う言葉に頭を殴られたようなショックを受ける。
北山が…Aちゃんを。
やっぱりっていう印象だけど、でも。
こんなに早く想いを伝えるなんて思っていなくて。
…今の俺じゃ、北山には勝てない。
「あの…みっくん」
「答えはちょっと待って!別に今すぐどうこうじゃなくて俺の気持ちをちゃんと知ってほしかっただけだから…もう少し考えておいて」
戸惑うAちゃんの声と聞いたことのないくらい優しい北山の声。
考えて、といった北山にAちゃんがこくりと頷いたのが遠目に見えた。
「よし、じゃあ絶対好きになってもらうから」
じゃあ、と鞄を持ってこちらに歩いてくる北山に慌てて隠れてやり過ごす。
図書室の中をそっとのぞけば何やら考え事をしているAちゃんがいて。
今会ったら何を言い出すか自分でもわからなくてそっと図書室から離れて歩き出した。
Aちゃんはどんな答えを出すんだろう。
そんなことを考えながら部活に出たせいか、ミスを連発してますます落ち込んだ。
139人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時