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暖かい胸の中で藤ヶ谷君の甘い香水の香りに包まれたとたん。
急に胸が苦しくなって、藤ヶ谷君のことを見上げる。
「……Aちゃん大丈夫?」
藤ヶ谷君は少し眉をしかめて痛みをこらえていたけれど、笑って私のことを見ていた。
「……Aちゃん?」
痛いとこない?と私の顔を覗き込むその瞳に心臓の鼓動がどんどん加速していく。
「…大丈夫だから、腕どけて」
ドキドキとする心臓が聞こえてしまいそうで慌てて立ち上がる。
「あ、ごめん…」
藤ヶ谷君が腕を支えてくれて、立たせてくれる。
「…ありがと…」
「う…ううん、全然」
一応バスケ部で鍛えてるし、と言ってくれるけれどなんだか恥ずかしくて会話が続かない。
「あ、あのさ「あの…」」
意を決してかけた言葉は見事に藤ヶ谷君とかぶってしまって。
お互い顔を見合わせて、なんだかおかしくなって笑ってしまった。
「Aちゃん先どうぞ」
「ううん、藤ヶ谷君どうぞ」
「えっと…じゃあ、夏休みなんだけど」
「うん?」
「俺と……花火大会行かない?」
「藤ヶ谷君と花火?」
藤ヶ谷君ほどの人がほかの女の子と行かないっていうのが意外で聞き返せばあわてたように皆で!と言われて。
そういえば私たちはみんなインドア派で、花火なんて近くで見たこともないなぁと思い当たって、いいよと返す。
「まじで?」
「うん、皆で遊びに行くの初めてだからうれしい」
「よっしゃ!」
ありがとう、とずいぶん嬉しそうに言われて。
「それで、Aちゃんは?」
「あー…あの、さっきのお礼を言いたくて」
助けてくれてありがとうと言えば、別にいいよと言われる。
「あ、俺そろそろ部活の時間だ」
じゃあまたね、と手を振って図書室を出ていく藤ヶ谷君を見送って、さっき本棚にいれ損ねた本を拾い上げる。
『Aちゃん大丈夫?』
大きな手。
暖かい腕。
優しい声。
本を拾い上げてまた藤ヶ谷君を思い出して。
「…なんでこんなにどきどきするんだろう」
脚立から落ちて驚いただけなのに、と理由をつけてみても勝手に顔が熱くなってくるのを止められなくてあたふたしていると…。
「なーにしてんの?」
補習が終わったらしいみっくんが図書室の入り口に立ってこちらを見ていた。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時