Hate You!〈F.Taisuke〉

広がる波紋―side M―　 ページ29

じめじめとした空気が部屋中漂っていて窒息してしまいそうだ。
季節は梅雨。
まぁじめじめしててもしょうがないかなって思うんだけど…正直この高い湿度は雨のせいとは思えない。
妙に高い湿度を発しているのは俺の隣に座ってAお手製の弁当を面白くない顔でつついている玉ちゃん。
そして玉ちゃんを挟んで隣にいる藤ヶ谷太輔。
Aが最近なぜか大嫌いから友達に昇格させた学年一…いや学校一のチャラ男は前みたいに執拗にAと付き合おうと迫ってくることはなくなった。
でも友達なんだし一緒にお昼ご飯を食べようという彼に断る理由もなくて、藤ヶ谷太輔の友達だという横尾さん――同学年なのに彼はなんだか『くん』より『さん』って感じだ――と5人での奇妙な昼休みがここ1週間の恒例になっていた。
藤ヶ谷太輔のもくろみは外堀を埋めてから…ってことだろうなと予想できたけど、正直今のこの状況は遊び人で女の子の気持ちを散々知っている彼でも予測できなかったみたいだ。


「横尾君、おかず交換しよ！」
「いいよー、でも俺今日は全体的に茶色ばっかだから…」
「でも茶色いおかずが一番おいしいっていうじゃない？」


なんなんだ、目の前の『女子会』みたいな会話は！
料理好きのAと料理が得意な横尾さんはめちゃくちゃ意気投合していて、お互いのお弁当を見せ合っては大盛り上がりをしている。
Aの両隣はどんよりした雨雲みたいな空気を発している男2人。
っていうかAもこの空気を何とか感じ取ってよ！と言いたくなるくらいのどんより具合だ。
玉はAを取られて機嫌悪いし、藤ヶ谷太輔もまさか自分の友人にAを取られるなんて思っていなかったんだろう、怖い顔で2人を見ている。
「玉ちゃん」
「っ何！A」
「最後のミートボールあげる」
「やった！」
あ、玉にちぎれんばかりに振られているしっぽがみえる…。
対照的に藤ヶ谷太輔は……怖い顔。
当たり前のように玉の前にAの箸でつかまれたミートボールが差し出され、玉が顔を出す…。



「もーらい」


突然Aと玉の間に割り込んでAの差し出したミートボールをぱくりと食べた藤ヶ谷太輔は満足そうにぺろり唇を舐めたけれど次は玉の顔がどんよりして…。

まだまだ梅雨は終わりそうもないな…。

＊＊＊
昨日このページと次の章を書き上げたところでネットエラーが出てしまって消えてしまいました(泣
ちょっとモチベーション下降気味で更新が滞ってしまってすみません！

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