“おはよう” ページ28
正直期待なんてしていなかった。
『友達ならなってあげてもいいよ』
そんな気まぐれな言葉。
だから、今日の朝のあいさつはいつものように眉間にしわを寄せた彼女に思い切り無視される、そう思っていたのに。
「っおはよう…藤ヶ谷君」
少し離れたところからかけられたその言葉に驚いて彼女を見れば、緊張で顔はこわばっているしみるみるうちに真っ赤になっていくし…しかもこちらの反応すら見ずにクラスに逃げるように入ってしまった。
でも。
『おはよう』というたった一言がすごく特別に思えて。
彼女の真っ赤になった顔がとんでもなく可愛く見えて。
クラスに逃げていくその後ろ姿さえもなんだかかわいくて。
ああ、やっぱり好きだなぁ…なんてぼんやりと廊下に立ってそんなことを思っていた。
「…すけ、太輔」
もう予鈴なってるから、とゆさゆさ渉に肩をゆすられてはっとして渉を見れば、なんだかにやにやした笑顔に迎えられる。
「太輔、顔真っ赤」
百戦錬磨の藤ヶ谷太輔がどうしちゃったんだよ?なんてからかうように言われるけれど俺自身自分の感情にまだついていけていなかった。
「ねぇ太輔、一限目自習だって」
さぼっちゃおうか、という渉の言葉に頷いて、Aちゃんたちがお昼に使っている屋上へと向かった。
「で、なにがあったの?」
屋上でそう聞かれて渉を見れば、もうわかってるけどね?という顔で渉もこちらを見ていた。
「なんにも」
「んなわけないじゃん」
「んー……友達になっただけだよ」
昨日ちょっとな、と言えば彼女と太輔の関係じゃなくて!と渉が俺の顔を覗き込んで。
「太輔の気持ちのこと」
俺が言ってた意味分かった?という渉は間違いなく俺が自分の気持ちに気がついたと気づいているのに俺にあえて言わせようとしてくる。
「……俺、今回はいままでの女の子とは…違うよ」
たぶん本気、とつぶやけばわかってるよと笑った渉の笑顔は思いのほか優しかった。
「なんかさ、Aちゃんが笑ってても怒ってても何してもすっごいかわいくて」
「うん」
「Aちゃんのことにめちゃくちゃ興味がわいて」
最初はただの興味だったのにいつの間にか違ってたなんて、と言えばそんなもんだよ、と返される。
「俺はね、太輔」
「ん?」
「太輔の初恋を応援するよ」
本物の恋ができてよかったね、と言われて、明らかに前途多難なこの恋でも落ちてよかったとしみじみ思った。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時