懐かしき平穏な日々―side you― 1 ページ16
「……ホントなんなの?!藤ヶ谷太輔!!」
「A落ち着いてって」
「落ち着いてなんか……!」
そのまま八つ当たりしそうになって、宮っちの顔を見てはっとしてやめる。
「…ごめん」
「ううん、まぁあれはストレスたまるよね」
かわいそうに、と私の頭をぽんぽんと撫でる宮っちの大きくて暖かい手にとげとげした心が落ち着いていくようだった。
「……何?今日もなんかあったの?」
カウンターの向こうには今来たばかりの玉ちゃんがいて、その辺の机に鞄を放ってカウンターの中に入り込んできた。
「あったの?なんてもんじゃない…」
「あー、玉?A今イライラしてるから…」
「やっぱり思い出したらムカついてきた!」
玉ちゃんの言葉にここ数日のことを思い起こしていた。
『おはよ、Aちゃん』
藤ヶ谷太輔に絡まれた次の日。
朝いつも通りに宮っちと玉ちゃんと図書室でのんびりして、玉ちゃんとは玉ちゃんのクラスの前で別れて。
いつも通りに宮っちと歩いていた私にさも当たり前のように声をかけてきた藤ヶ谷太輔にあからさまに嫌な顔を向けた。
『ねぇ、待ってって』
無視して通り過ぎようとすれば、つかまれた手首。
持っていたカバンがバサリと大きな音を立てて。
『Aちゃん』
手首が、焼けそうだ。
『っ藤ヶ谷君、A嫌がってるから…』
宮っちがおどおどしながらも必死に私のもう片手を引っ張ってくれるけれど、藤ヶ谷太輔の手はびくともしなくて。
『Aちゃんのこと、俺すげぇ好きなんだよね』
付き合ってよ、と言って笑ったその顔を見ることもせずに乱暴に手を振り払って立ち去った。
のに。
『Aちゃんってかーわいーよね』
『めがねしなきゃいいのに!大きい瞳なのにもったいないよ?』
それからというもの事あるごとに藤ヶ谷太輔は私の教室までやってきては、甘い甘い胸焼けするほどのセリフを言ってくるようになった。
『ねぇ、俺と付き合って?』
『……いやよ』
毎日のこのやり取りは決まっているというのに、藤ヶ谷太輔は飽きもせずに休み時間になるとやってくる。
そのせいで、ここ最近玉ちゃんとお昼ご飯を食べられないままだ。
「……へぇ、モテてるじゃん」
「違うわ」
きっと、いやたぶん…ううん、間違いなく。
「私が好きっていうかどうか、遊んでるだけよ」
あんなふうに簡単に好きだと言えるその神経がわからないわ…と思わず漏れた本音に、宮っちは少し困ったように、玉ちゃんはやれやれというように苦笑した。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時