投げ込まれた小石―side M― ページ15
「あ、あのAごめんね?」
紙パックのいちごミルクをちゅーちゅー吸っているAに恐る恐るそう声をかける。
昼休み。
俺たちは昼になると屋上に集まってはお弁当を食べたり本を読んだり、そんな毎日だ。
玉ちゃんは4限が体育だからまだあと5分は来ない。
その間に今日の朝のことを謝ってしまいたかった。
「何が?」
「いや、朝のこと…」
「宮っちに悪いところなんて何もないじゃない?」
そう言ってふいっと遠くを見ながらまたいちごミルクをちゅーちゅーし始めるA。
あー、もう!わかってるよ、そういう態度をとるときはすごくイライラしてるときだって!
朝、あの藤ヶ谷太輔にぶつかったのは本当にたまたまで。
まさか藤ヶ谷太輔がAに興味を持つなんて思わなかった。
『Aちゃんっていうんだ?かわいいね』
『ねぇ、何クラスの子?っていうかちゃんと名前教えてよ?』
振り払われた手。
興味がないと言い切ったAに少しだけ安心した。
ああ、俺と玉ちゃんとAの関係はこれからも変わらないんだって、ほっとした。
でもね?
あれは、興味がない目じゃない。
イライラしてむかむかして……『大嫌い』って目だ。
『好き』の反対は『無関心』。
だとしたら…『大嫌い』は興味があるってこと。
Aは、藤ヶ谷太輔に彼女自身気がつかないだけで興味があるんじゃないかって、そう思うのはなんだか怖かった。
「あー、もう来てる!って…あれ?もしかして喧嘩してる?」
屋上の扉がガチャリと開いて、玉ちゃんが顔を出した。
俺とAの様子をちょっと見ただけで何があったのかすぐにわかってしまう玉ちゃんは末恐ろしい。
「あー…ちょっとね」
「なんだよ、宮田なにしたの?」
「俺じゃないって!」
「じゃあAはなんで怒ってるの?」
Aの隣に座ってAの頭を何のためらいもなくなでる玉ちゃん。
うん、この光景がやっぱり俺には幸せだ。
Aがいて、玉ちゃんがいて、俺がいて。
……玉ちゃんの淡い恋心を密かに見守るのが、好きだ。
「あー!もう考えるのやめたっ」
「A、何があったの?」
Aを見る玉ちゃんの瞳は恐ろしく優しい。
「あの学年一の遊び人にからかわれたの!昨日彼女を振ったばっかりなのに…女の子をなんだと思ってるのかな」
「あはは、Aのかわいさにやっと藤ヶ谷も気づいたかー」
「玉ちゃん!」
からかうようにAを甘やかす玉ちゃんのおかげで、あっという間にAの機嫌も直っていった。
懐かしき平穏な日々―side you― 1→←初めて交わした言葉
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時