初めて交わした言葉 ページ14
「太輔、今日の単語テスト勉強した?」
「げっ、普通にリーダーの予習しかしてないわ」
結局家出渉特製の朝ごはんを食べてしまって、予鈴時間の5分前にやっと学校についた。
「あー、じめじめする」
「そろそろ梅雨だよね」
そんな話をしながら廊下を歩いていると…。
――ドン
「っってぇ…」
「あっごめん!」
前から歩いてきた男子生徒と思い切りぶつかってしまって思わず廊下の壁に手をつく。
ぶつかった男子生徒はおろおろとどっか変なところ打ってない?と心配そうだ。
「いや何ともな……」
「宮っち、大丈夫?」
ぶつかった拍子に男子生徒のノートやら筆記用具やらをばらまいてしまったようで、それを全部拾い集めた女子生徒がこちらを向いた。
銀縁メガネ。
何の感情もなさそうな瞳。
校則通りにきっちり来た制服。
化粧気のない顔。
……彼女だ、と昨日顔もろくに顔も見ていない癖にピンときた。
「あ、Aいろいろ拾ってくれてありがとう」
「ううん、それよりお互い怪我は…あ、怪我ないですか?」
俺に向けられたその言葉は、前半の友達に向けられた言葉と比べてお湯と水くらい差があるんじゃないかってくらい冷たくて。
何だこの子。
普通に冴えないこの男子生徒を心底心配そうに、そして俺の事なんて適当に目も合わせないで聞いてくる。
今までこんな子に出会ったことなんてない。
この、俺に全く興味のなさそうな彼女をおもしろい、と思った。
「Aちゃんっていうんだ」
かわいいね、とにっこり笑いかければ、隣にいた渉がまたか…と苦笑いをする。
一方でぶつかった…宮っち?は唖然としているし、Aちゃんは一切表情がない。
「ねぇ、何クラスの子?ってかちゃんと名前教えてよ」
俺は藤ヶ谷太輔、と手を握ろうとすると。
「……別にあなたが誰でも関係ないわ」
ぱん、と手を払われて。
「行こう」
「え、でも…」
「もう予鈴なっちゃうから」
俺なんて最初からいなかったみたいに男子生徒の手を引いて廊下を歩いていく彼女をなんだかずっと見送って。
「あーあ、振られたね」
「……やべ、あの子超面白い」
大抵の女子は俺を『好き』だという。
俺が少し笑えば、『かっこいい』という。
そして俺が別れようというと『キライ』だという。
初めて向けられた『無関心』という反応に、なんだか心臓がぎゅっとなったような不思議な感じがしたけれど、その感触がなんなのかわからないまま教室に入った。
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めろんぱん(プロフ) - 由貴さん» コメントありがとうございます!お話はもう少し続きますが、気長におつきあいください(^-^*) (2015年3月15日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
由貴(プロフ) - 面白いです(///ω///)♪ (2015年3月15日 0時) (レス) id: 08fed4a8fe (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - ふうたさん» コメントありがとうございます!気分屋なので不定期更新になってしまってすみません(_ _)宮っちは密かにがっつり書いてみたかったのでお兄ちゃん兼友人として満喫中です(^-^*)これからもよろしくお願いします! (2015年2月25日 5時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
ふうた(プロフ) - 前作から読ませていただきました!今回のお話も大好きです。夜に更新されてるかな?て時が1日の癒しの時間です。みやっちみたいな男友達が居たらいいなと思いながら楽しみにしています! (2015年2月24日 23時) (レス) id: b28de98085 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - めーるさん» コメントありがとうございます!一癖もふた癖もある人ばかりなので一筋縄ではいかないお話になりそうですが、楽しんでいただけたらうれしいです(^-^*) (2015年2月4日 23時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2015年1月22日 0時