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「失礼します」
ノックをして準備室のドアを開ける。
この部屋で横尾先生と話をしたのももう半年近く前のこと。
あの時は、先生の顔を見るのも話しかけるのも緊張して心臓が持たないと思ったんだっけ…。
「あ、河嶋急にごめんな」
「いえ、何でしょうか…?」
いつになく難しい顔をしている先生にに座るように言われるけれど、ソファーに腰を下ろしてもどこか落ち着かなくてちらちらと先生を見れば、先生はじっと私を見ていて。
「あっ…あの…今日は…?」
なかなか話しださない先生にしびれを切らして口を開けば、先生はふぅー…と大きく息を吐いた。
「あのさ、」
「は…はい」
一見怖く見える切れ長の瞳。
睨むように見てしまうのは先生の癖。
「責任、とってほしいんだけど」
そう言ってこちらを見つめる先生の発言の意図がわからなくて首をかしげる。
「責任、ですか」
「そう、責任」
「……何の…?」
責任をとれと言われる意味が分からなくてこれまでのやり取りを思い返すけれどやっぱり『責任』の意味が分からなくて。
「あの…私」
何かしましたか?と聞くとうーん…と言いながら言葉を選んで先生が話し始めた。
「俺の家、親戚全員教員ばっかりでさ」
末っ子の俺は兄貴よりも出来が悪いっていっつも言われてた、と口元をゆがめる先生はどこか苦しそうだ。
「そんな俺のこと、好いてくれる人なんていないってとうの昔にあきらめた…はずなのに」
そこで言葉を切るとおもむろに先生は立ち上がった。
そのままテーブルをまわってこちらに近づいてくる先生をただただ見つめていると、先生はそのまま私の座るソファーの後ろに回って…。
「っ…せん…せぃ…」
後ろからするり、と長い腕が回されてそのまま力を入れられる。
思わず固まる私に薬と笑って、先生は耳元に唇を寄せた。
「どうしてくれるんだよ」
「…河嶋なしじゃ生きていけないくらい、いつの間にか河嶋の『好き』が支えになって…もっともっと河嶋のこと知りたいしもっともっと近くにいたいなんて思わせて…」
「……っ」
「だから、責任とって」
言われた言葉が信じられなくて反応できないでいる私の顔を後ろから覗き込んだ先生はさみしそうに笑って。
「…それともやっぱり『罰ゲーム』?」
「……っ違います!」
「じゃあ責任、取って?」
こんなに好きにさせた責任…なんて八重歯を見せて笑う先生にきゅん、として。
「…大好きです、先生」
そう答えれば少しだけ冷たい唇がそっと、降ってきた。
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めろんぱん(プロフ) - mizukitama0810さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。まだあと3人分ありますのでお楽しみに! (2014年12月8日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
mizukitama0810(プロフ) - 楽しみやで! (2014年12月8日 0時) (レス) id: fa4a017977 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - momo☆さん» いつも遊びに来てくださってありがとうございます!「近くて遠い」をほったらかしてこっちに浮気してます(^-^;)今後は横尾さん、ガヤさんと続いていきますのでお楽しみに☆ (2014年12月6日 4時) (レス) id: f54a071e3d (このIDを非表示/違反報告)
momo☆(プロフ) - 遅くなりましたが新作おめでとうございます!ドキドキきゅんきゅんさせて貰ってます♪まだのメンバーのも楽しみ\(^o^)/ (2014年12月5日 8時) (レス) id: ac44057ad7 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - むちゃちゃさん» コメントありがとうございます!今までのお話も読んでくださっていたなんてうれしいです。やっぱりあのね帳ありましたよね?私の友人はなにそれ?状態でしたが(^-^;)これからもマイペース更新かと思いますが頑張ります!! (2014年12月1日 3時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2014年11月29日 2時