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「じゃあ20分で小テスト回収します」
あと、今日はノートも提出してもらうから、と横尾先生が言うと教室中から悲鳴に近い声が上がる。
「お前ら、授業中にうるさいぞ」
いやいや、先生が抜き打ちでノート提出させるからでしょ、と思わずみんなの肩を持ちたくなるけれど、ここはぐっと我慢して。
…よかった、ノートだけはちゃんととってある。
週末高嗣に邪魔されながらもちゃんと勉強もできたし小テストも安心だとくばられたテスト用紙に名前を書き込んで。
「はい、始め」
先生のその言葉でカリカリとシャーペンを動かした。
「じゃあ、今日の放課後までにはノート返却するから」
テストを回収した後きっちり今日の分の授業もやりきって、後ろからノートを集められる。
人数分のノートを細いのに軽々と持ち上げて教室を出ていく先生の後ろ姿をぼんやり眺めていると隣の子が「一限からテストとか最悪だよね」と話しかけてくれる。
「ホント、疲れちゃうよね」
本当は朝から横尾先生を見られて、元気でちゃったくらいなんだけど…たぶん言わない方がいいだろう。
「ねー」
そんなことを言い合っていたらあっという間に次の授業が始まってしまってもうそれからは横尾先生の話なんて出てこなかった。
「ノート返却します」
帰りのホームルームで社会科の係みたいな子がノートを一冊ずつ皆に返却していく。
ノートをぱらぱら見た男子がうげ…なんか書いてある、なんていうから逆に私はちょっとだけ楽しみになってしまってうきうきと名前が呼ばれるのを待つけれど、一向に呼ばれないままで。
「あの…私呼ばれてないです」
意を決してそう言えば係の子も首をひねる。
「先生から受け取りわすれただけかも…明日返却でよければ先生に聞いてみるよ」
「あっううん、自分で聞きに行くから大丈夫」
ありがとうと自分の席に戻ったけれど、心臓がばくばくして気持ちが悪くなりそうだった。
横尾先生に直接…。
横尾先生と直接個人的に話をしたことなんて皆無に等しいから、突然訪れたチャンスにも対応できなくて勝手にあたふたする。
なんて言って声かけたらいいかな、とか。
忙しそうだったらどうしよう、とか。
いろんなことが頭の中をぐるぐるとまわる。
すると。
「あ、河嶋」
当の横尾先生が教室を覗き込んで私を名指しで呼ぶ。
「はっはい!」
「放課後ちょっと来てくれる?」
「わかりました!」
突然のことに固まっているうちに先生は職員室に戻ってしまった。
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めろんぱん(プロフ) - mizukitama0810さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。まだあと3人分ありますのでお楽しみに! (2014年12月8日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
mizukitama0810(プロフ) - 楽しみやで! (2014年12月8日 0時) (レス) id: fa4a017977 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - momo☆さん» いつも遊びに来てくださってありがとうございます!「近くて遠い」をほったらかしてこっちに浮気してます(^-^;)今後は横尾さん、ガヤさんと続いていきますのでお楽しみに☆ (2014年12月6日 4時) (レス) id: f54a071e3d (このIDを非表示/違反報告)
momo☆(プロフ) - 遅くなりましたが新作おめでとうございます!ドキドキきゅんきゅんさせて貰ってます♪まだのメンバーのも楽しみ\(^o^)/ (2014年12月5日 8時) (レス) id: ac44057ad7 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - むちゃちゃさん» コメントありがとうございます!今までのお話も読んでくださっていたなんてうれしいです。やっぱりあのね帳ありましたよね?私の友人はなにそれ?状態でしたが(^-^;)これからもマイペース更新かと思いますが頑張ります!! (2014年12月1日 3時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2014年11月29日 2時