2 ページ29
「じゃあ来週はこの範囲小テストするから」
終わりのチャイムと同時に横尾先生がそんなことを言うから、クラスの皆からブーイングが上がる。
…といっても先生が怖いせいかずいぶん控え目なブーイングだけれど。
「何?嫌なの?」
じろり、と先生が教室を見渡せば、それだけで皆仰せのままに!と首をぶんぶん横に振るからまた満足げににっこり笑って教室を出て行った。
「…なにあれ、ほんっと性格悪!」
「ぜってー俺ら怖がらせて楽しんでるよな、あいつ」
ひそひそとかわされるそんな会話に違うよ!とめいっぱい否定したくても地味な私の言うことなんて…と結局何も言えないまま横尾先生の悪口を聞く羽目になる。
好きな人の悪口ってつらいなぁ…
ふぅ、とため息をつけば隣の子と目が合って。
「河嶋さんも小テストつらいよねー」
ね?と笑いかけてくれるその期待に満ち満ちた瞳にそんなことないけどという勇気はなくてあいまいに笑ってそうだね、と相槌を打つ。
「土日せっかく部活もないのに勉強ばっかじゃつまんないよねー」
「う…うん、そうだね」
うまく話を合わせて笑ってその場を流した。
「おーい、A遊びに来てやったぞ」
「…今いらない」
「冷たっ」
いつからそんな子になっちまったんだよーなんて髪をぐちゃぐちゃにしてくるわんこのような笑顔のこの人はいとこの二階堂高嗣。
母方のいとこだから名字が違うんだけど…近所に住んでいるせいか大学がひまだとこうして家にやってきては私の邪魔をして勝手に夕ご飯を一緒に食べていく。
「来週小テストなんだもん」
「俺教員志望だけど見てやろうか?」
そう言って後ろから覗き込んでくる高嗣にいい!とノートを隠せばいいから見せろよーと取られてしまう。
「うわっめちゃくちゃ気合入ってるじゃん」
「まぁ…真面目だけが取り柄だし」
「にしても気合入りすぎ」
さては日本史の先生のこと好きなんだろー?なんてにやりと笑う高嗣を軽くあしらえなくてみるみるうちに顔が赤くなってしまう。
「まじかよっ」
「…高嗣うるさいっ」
しばらくお母さんとしゃべってて!と無理やりノートを取り返して部屋から高嗣を追い出す。
そのままぱらぱらとノートをめくるけれど、高嗣に言われたせいか休みの日なのに横尾先生の顔ばかりが頭に浮かんで…。
『大好きです』
ノートの片隅に書いてみたけれど恥ずかしくなって慌てて消しゴムで消した。
3→←誰も知らないあなたの好きなとこ〈Y.Wataru〉 1
111人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろんぱん(プロフ) - mizukitama0810さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。まだあと3人分ありますのでお楽しみに! (2014年12月8日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
mizukitama0810(プロフ) - 楽しみやで! (2014年12月8日 0時) (レス) id: fa4a017977 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - momo☆さん» いつも遊びに来てくださってありがとうございます!「近くて遠い」をほったらかしてこっちに浮気してます(^-^;)今後は横尾さん、ガヤさんと続いていきますのでお楽しみに☆ (2014年12月6日 4時) (レス) id: f54a071e3d (このIDを非表示/違反報告)
momo☆(プロフ) - 遅くなりましたが新作おめでとうございます!ドキドキきゅんきゅんさせて貰ってます♪まだのメンバーのも楽しみ\(^o^)/ (2014年12月5日 8時) (レス) id: ac44057ad7 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - むちゃちゃさん» コメントありがとうございます!今までのお話も読んでくださっていたなんてうれしいです。やっぱりあのね帳ありましたよね?私の友人はなにそれ?状態でしたが(^-^;)これからもマイペース更新かと思いますが頑張ります!! (2014年12月1日 3時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろんぱん | 作成日時:2014年11月29日 2時