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「…で、業平は結局一人寂しく最期を迎えるんだよねー。あ、この短歌はたぶんテストに出すから、ちゃんとノートとっときなよー」
午後最後の授業。
ぼんやり聞いていたけれど、宮田の言葉にあわてて黒板を見て、宮田の意外に綺麗な字を書き写していく。
「業平ってプレイボーイでいろんな女の人を運命の相手だって言ってるけど…俺だったら運命の人は生涯一人だけでいいな」
『生涯一人』という瞬間、2か月ぶりにちらりと宮田がこちらを見て、たまたま目が合った。
すぐに困ったように笑ってそらされたその視線の意味は、わからなかったけれど。
なんだか胸が苦しくなるような笑顔だ、とぼんやり思った。
「そうそう、単元が終わったし一回ノート集めたいんだけど…」
終わりのチャイムがちょうどなったあたりで宮田がそんなことを言い出す。
「…河嶋さん、集めて持ってきてね」
今日なら準備室にずっといると思うから、と笑顔で言いきって宮田はそのまま教室を出て行った。
「あんたまた宮田に追いかけられてるの？」
「ううん…あれから初めて…」
マイコや周りの席の子にそう聞かれるけれど、本当に私にはいきなり私を指名した意味が分からなくて戸惑ってしまって。
「ま、宮田も今は普通の教師に戻ったかもしれないしさ」
さっさと置いてきちゃえばいいよ、という言葉にうん……とわけがわからないまま返事をした。
「…先生、ノート持ってきました」
国語科準備室のドアをなんとかノックすれば中から物音が聞こえて。
「あ…ありがとう」
重かったでしょ、と中からドアが開いた。
「…失礼します」
初めて入った国語科準備室はあまり使っている人がいないせいか少しだけ埃っぽい。
「その机に置いておいてくれればいいから」
言われた通りにノートを積み上げて、宮田をちらりと見ればやっぱり困ったように視線を泳がせていてこちらを見ようとしない。
その姿になぜかとても、腹が立った。
「先生は、」
「え…？」
「先生は……結局私のことは本気じゃなかったんですね」
まとまらない頭のまま口から出る言葉はひどく宮田を傷つけるもので。
「ちょ…河嶋さん？」
「だって、あっという間にほかの女の子たちに囲まれてデレデレして…結局ちやほやしてくれる女の子がいいんでしょ？」
固まったままの宮田に言いたいことをぶつけるだけぶつけて踵を返す。
「…っじゃあっどうしろっていうんだよっ」
それは、聞いたことのない宮田の怒った声だった。
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めろんぱん(プロフ) - mizukitama0810さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。まだあと3人分ありますのでお楽しみに！ (2014年12月8日 2時) (
レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
mizukitama0810(プロフ) - 楽しみやで！ (2014年12月8日 0時) (レス) id: fa4a017977 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - momo☆さん» いつも遊びに来てくださってありがとうございます！「近くて遠い」をほったらかしてこっちに浮気してます(^-^;)今後は横尾さん、ガヤさんと続いていきますのでお楽しみに☆ (2014年12月6日 4時) (レス) id: f54a071e3d (このIDを非表示/違反報告)
momo☆(プロフ) - 遅くなりましたが新作おめでとうございます！ドキドキきゅんきゅんさせて貰ってます♪まだのメンバーのも楽しみ＼(^o^)／ (2014年12月5日 8時) (レス) id: ac44057ad7 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - むちゃちゃさん» コメントありがとうございます！今までのお話も読んでくださっていたなんてうれしいです。やっぱりあのね帳ありましたよね？私の友人はなにそれ？状態でしたが(^-^;)これからもマイペース更新かと思いますが頑張ります！！ (2014年12月1日 3時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めろんぱん | 作成日時：2014年11月29日 2時
