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「いやーしかし今日もみやっちすごかったね」
「…全然うれしくない」
っていうかいい加減静かにしてほしいんだけど、とじろりと隣を歩くマイコをにらむと、かわいい顔が台無しよ?と笑われた。
季節はもう冬になりかけで、こうして体育の着替えに向かうのもおっくうになる。
今日も今日とて…というか入学してからこの方、というか。
やっぱり宮田は絶好調で私を追いかけてくる。
もう1年以上つれない態度をとり続けているんだからいい加減あきらめてくれたらいいのに、と思うのに宮田のHPが異常に高いのか、防御力が高いのか、はたまは心が鋼鉄でできているのか一向ににらんでも冷たくしても引く様子はない。
せめて家庭科とか、週に1回くらいしかない教科の先生だったらよかったのに宮田の担当教科は古典。
漢文も合わせると週5日のうち4日は顔を合わせるのだ。
そのたびに冷たくする私。
そして裕太くんのところで思いっきり愚痴を話しているとどこからともなく宮田が現れて…結局裕太くんとも話せなくてもやもやを抱えたまま毎日を過ごしていた。
「…もう、最悪」
「今日も熱烈だったもんねー」
今日は伊勢物語の全体的な構成なんかを宮田が話していて、業平がすごくプレイボーイだったって説明を私はぼんやりと聞いていた。
今日はなんだか真面目だなぁと思っていたその瞬間。
『あっ俺は業平とは違って一途だけどね!河嶋さーん!』
黒板の前でチョーク片手に手を振る宮田に頭を抱えれば、その照れた顔も可愛いよ!だって。
「宮田さえいなければ普通の高校生活が送れてたのになー」
「ほかの人より楽しそうじゃない?」
「私は普通に恋愛して、普通に彼氏作って勉強して遊んでっていう生活がしたかったの!」
「まぁあんだけ好かれてればねぇ…」
ほかの男は寄ってこないわね、というマイコの言葉にため息を一つ。
「いっそ宮田のこと好きになっちゃえばいいのに」
「…冗談でもやめてよ」
「だっていつもにこにこしてて優しそうじゃない?」
「あんなオタクでいっつもへらへらしててしつこくて…キモくてウザい人なんて絶対いや」
「…ごめんね、キモくてウザい教師で」
ちょうど廊下の曲がり角。
マイコの方を向いていた私は宮田が歩いてきてるなんて気づくはずもなくて。
「あ…」
「ごめん、もうやめるから」
そしてすっと私たちの横を通って向こうへ歩いていく宮田。
その顔は笑顔なのに、なんだかすごく寂しそうな笑顔だった。
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めろんぱん(プロフ) - mizukitama0810さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。まだあと3人分ありますのでお楽しみに! (2014年12月8日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
mizukitama0810(プロフ) - 楽しみやで! (2014年12月8日 0時) (レス) id: fa4a017977 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - momo☆さん» いつも遊びに来てくださってありがとうございます!「近くて遠い」をほったらかしてこっちに浮気してます(^-^;)今後は横尾さん、ガヤさんと続いていきますのでお楽しみに☆ (2014年12月6日 4時) (レス) id: f54a071e3d (このIDを非表示/違反報告)
momo☆(プロフ) - 遅くなりましたが新作おめでとうございます!ドキドキきゅんきゅんさせて貰ってます♪まだのメンバーのも楽しみ\(^o^)/ (2014年12月5日 8時) (レス) id: ac44057ad7 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - むちゃちゃさん» コメントありがとうございます!今までのお話も読んでくださっていたなんてうれしいです。やっぱりあのね帳ありましたよね?私の友人はなにそれ?状態でしたが(^-^;)これからもマイペース更新かと思いますが頑張ります!! (2014年12月1日 3時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2014年11月29日 2時