先生、あのね？

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週末。


本来ならば出勤しなくてもいい日ではあるが、ここんところ受験だからと教員はほとんど学校に詰めている。
俺は受験生の担任ではないけれど、クラスによっては俺が教えているクラスもあるわけで、合否を気にしながら仕事をしていた。
「なぁなぁみっくん」
「お前までみっくんって呼ぶなよな」
「ええやん、みっくんなんやし」
『北山先生』って顔やないやん！というのは俺の同期で席も隣の大倉忠義。
大学からの腐れ縁ではあるけれど、２人そろってこの学校への着任が決まった時は本当にうれしかったし、これまで悩んだことも凹んだことも大倉がいたから頑張ってこれたのも事実だ。
「大倉今日は？」
「んー…俺も３年の担任じゃないけど一応な」
「だよな」
「今年も皆笑顔で終われたらいいんやけど」
「ま、まだまだ３月までこんな毎日だよな」
そんな話をしながら空いた時間に期末テストを作る。

今日は私立大学の合格発表の日。
もちろん今日じゃない大学もいくつもあるけれど手分けして各大学のホームページであらかじめ教えてもらっていた受験番号を確認する。

「先生！受かったよー!!!」

職員室に直接訪ねてきてくれる生徒もたくさんいる。
もちろん受かった子も落ちた子もいて…あんなに頑張っていたのにと落ち込んでしまう生徒をなぐさめるのも教師の仕事だ。
「みっくん、ただくん！受かったよ」
「おっおめでとう！」
「よかったなー！」
俺らのところにまで報告に来てくれる生徒も何人かいて、そのたびに大倉とその労をねぎらう。
私大の豪華宇発表時間は午後２時。
それから生徒の対応にばたばたしていて、気がつけばもう外は暗くなっていた。
「なぁみっくん今日クラス会に呼ばれてるんやろ？」
「うん」
「もう行かんでいいの？」
時計を指さす大倉の指先をたどれば、壁の時計はもうすでに５時５０分。
「やっべ！」
「ええなぁ、卒業生にまでモテモテで」
「もー今お前かまってるひま無い！」
「ほー、冷たいやんけ」
「だから！俺急いでるんだって」
急いで鞄を担いで職員室を後にすれば、楽しんで来いよーという大倉の声が後ろから聞こえた。

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