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教育実習最終日。
「がっちゃん、元気でね!」
「また絶対遊びに来てね」
最後の最後までにぎやかな女の子たちに囲まれて、寄せ書きを貰う。
「ありがとう、皆のおかげですごく…楽しかったよ」
そう頭を下げればうちらも楽しかったよ!と口々に言ってくれて、このクラスでよかったと本当に思った。
皆にお礼を言いながらちらりとAを見ると、やっぱりAは机に突っ伏して俺の方なんて見てなかった。
あの夜。
勢いで告白どころかキスまでしてしまった俺に、Aは顔を真っ赤にして。
何も言わずに鞄をつかんで帰ってしまったのだ。
それからはメールすらも返ってこなくなって。
「あー寄せ書き!いいなぁ」
控室で二階堂に寄せ書きを奪われて勝手にみられる。
「おい、いい加減返せよな」
「なぁなぁ」
「なんだよー…」
「これ、何だろ?『私もこういうです』って名前なしで書いてあるんだけど」
「…えっ」
急いで二階堂から色紙をひったくれば見覚えのあるまるっこい字。
そしてその横に書かれた『先生意外にヤキモチ妬き(笑) 中島』というたった一言の書き込み。
「ちょ……俺、忘れ物っ」
ばたばたと走り出した俺に二階堂がにんまり笑って手を振ったことなんて、気づかず走った。
「……っ…」
「…先生おそーい」
息を切らして教室のドアを開ければ憎らしいほどいい笑顔の中島とその影にかくれるようにして立つA。「…中島…あれ」
「俺は相談に乗ってただけですよ?」
じゃ、がんばれよとさわやかに言い放った中島は、Aの頭をポンポンとして出ていく。
2人きりの教室はなんだか話し出す糸口が見つからなくて…。
「……健ちゃんは、単に妹が取られて焦ってるだけでしょ?」
「違う!たしかに…それでやっと自分の気持ちに気づいたけど」
「妹みたいだって思ってたくせに」
「……正直自分でもびっくりしてる」
それでも大事だって思う気持ちは昔から変わってない、と言えばAはぷいっと横を向いて。
「…10年」
「へ?」
「私が『こういう』好きになって、もう10年もたつのに」
健ちゃんの鈍感!とふくれるAとの距離を詰めればぴくり、と跳ねる肩。
「きっと俺もずっと『こういう』好きだったよ」
だっていつも俺の思い出の中には笑顔のAがいて。
その笑顔を思い出すだけで心臓がきゅんと音を立てるんだから。
「好き」
「…大好き、だもん」
素直じゃないその唇にそっとキスをすると、やっとAが笑ってくれた。
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めろんぱん(プロフ) - mizukitama0810さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。まだあと3人分ありますのでお楽しみに! (2014年12月8日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
mizukitama0810(プロフ) - 楽しみやで! (2014年12月8日 0時) (レス) id: fa4a017977 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - momo☆さん» いつも遊びに来てくださってありがとうございます!「近くて遠い」をほったらかしてこっちに浮気してます(^-^;)今後は横尾さん、ガヤさんと続いていきますのでお楽しみに☆ (2014年12月6日 4時) (レス) id: f54a071e3d (このIDを非表示/違反報告)
momo☆(プロフ) - 遅くなりましたが新作おめでとうございます!ドキドキきゅんきゅんさせて貰ってます♪まだのメンバーのも楽しみ\(^o^)/ (2014年12月5日 8時) (レス) id: ac44057ad7 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - むちゃちゃさん» コメントありがとうございます!今までのお話も読んでくださっていたなんてうれしいです。やっぱりあのね帳ありましたよね?私の友人はなにそれ?状態でしたが(^-^;)これからもマイペース更新かと思いますが頑張ります!! (2014年12月1日 3時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2014年11月29日 2時