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俺が4年前に担任をしていたクラスの女生徒。
河嶋A。
真っ黒でストレートの髪。
まっすぐに切られた前髪の下の大きな瞳。
おとなしい方だったけれどにっこり笑った笑顔がすごくすごく可愛い子。
クラスの中でも目立つというわけではないけれど友達は多い方で、よく授業のあと教室の外を通りかかるとクラスメイトの奴らと笑っている河嶋を見かけたりした。
それでも登下校は友達と時間が合わないのかいつも一人でこの道を歩いていた。
『おはよ、河嶋』
『おはよう、みっくん』
『お前、先生って呼べよなー』
『学校では先生って呼ぶから今は良いんですよー』
ふふっと笑ったその笑顔がかわいくて。
そんな河嶋に教師なのに特別な感情を抱いているのだと、そう気がついたのは秋口のころ。
教師だからもちろん気持ちを伝えることなんてできなかったけれど。
毎日あいさつを交わして、少しだけ話をして。
部活のこと、クラスのこと、受験のこと。
悩みながらも少しずつ成長していく河嶋が眩しかった。
でも、そんな想いは長くは続かなくて。
『週末文化祭だな』
『ですねー、毎日準備楽しいです!』
高校最後の思い出だから…とうれしそうに話す河嶋の横顔を見てそういえば…と最近男子たちが話題にしていることを聞いてみる。
『文化祭、誰かと回ったりすんの?』
クラスの男子たちが最後だからと好きな子を誘っているのを見て、河嶋も好きな奴と行くのか?なんてちょっと意地悪く聞いてみると河嶋は顔を真っ赤にして。
『秘密、です』
その恥ずかしそうな笑顔がすべてを物語っていて、気軽にこんなことを聞いた自分に絶望した。
この恋はもう忘れよう。
忘れてしまおう。
そう思いながら彼女の笑顔を見るたびにずきずきと胸が疼いた。
誰にも言えない秘密が1つだけある。
夕日に染まった教室。
卒業式の前の日、ほとんど後者には誰もいないのに、教室のいつもの机に河嶋は座っていて。
誰かを待っていたのか眠ってしまった河嶋の隣の席の椅子を引いてそのあどけない横顔を眺める。
もしも、なんて馬鹿げてる。
でも。
もしも同じクラスだったらこうやって一緒に勉強して。
一緒に笑って。
…何の障害もなく恋もできたんだろうか。
この想いを伝えるわけにはいかなくて、でもどうしても止めることができなくて。
眠る河嶋にそっと触れるだけのキスをする。
「…ははっ、だっせ」
最初で最後のそのキスは、俺の涙の味がした。
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めろんぱん(プロフ) - mizukitama0810さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけて何よりです。まだあと3人分ありますのでお楽しみに! (2014年12月8日 2時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
mizukitama0810(プロフ) - 楽しみやで! (2014年12月8日 0時) (レス) id: fa4a017977 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - momo☆さん» いつも遊びに来てくださってありがとうございます!「近くて遠い」をほったらかしてこっちに浮気してます(^-^;)今後は横尾さん、ガヤさんと続いていきますのでお楽しみに☆ (2014年12月6日 4時) (レス) id: f54a071e3d (このIDを非表示/違反報告)
momo☆(プロフ) - 遅くなりましたが新作おめでとうございます!ドキドキきゅんきゅんさせて貰ってます♪まだのメンバーのも楽しみ\(^o^)/ (2014年12月5日 8時) (レス) id: ac44057ad7 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - むちゃちゃさん» コメントありがとうございます!今までのお話も読んでくださっていたなんてうれしいです。やっぱりあのね帳ありましたよね?私の友人はなにそれ?状態でしたが(^-^;)これからもマイペース更新かと思いますが頑張ります!! (2014年12月1日 3時) (レス) id: ce7d0548e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2014年11月29日 2時