9話 ページ11
私の涙も収まり、貴族科クラスの終わりを告げるチャイムがなり始めた頃−−
「さて、ではメアリー様の所へ参りましょうか」
完全にいつもの悪役令嬢(？)の顔に戻った私がそう言うと、彼女たちは驚きの表情とともに、隠しきれなかった戸惑いの声を上げた。
「どうかなさいました？私は本来の目的を果たそうと思ったのだけれど...」
「い、いえ。ただ...」
「ただ？」
「...」
聞き返すように問いかけると、何故か彼女、茶色ふわふわ髪のフィーネは更に震えてしまって、代わりにレイシュアが代弁してくれる。
「恐れながら...今日のA様が普段のご様子と違われましたので...」
「普段と違う？」
記憶がもどる前と同じように接してきたつもりだったけど、やっぱり違ってた...ってことよね。
「あ、ごめんなさい。少し、驚いてしまって」
「申し訳ございません。差し出がましい事を。ですが、ご気分などが優れないようでしたら、仰ってくださいませ」
「気分は悪くありませんわ。ですから貴方達も心配なさらなくて大丈夫ですのよ」
「はい」
「はい」
普段練習しているのかというくらいに、揃った返事。
ただ、その言葉の奥から「心配なんかしない」という声が聞こえてきそうなのは、気の所為だろうか。
まあ、いいわ。
色々とズレてしまったけど、本題に移ろう...
そう思ったけれど。
「A様、そんな東屋で何してるの？」
その必要はなかったみたい。
特徴のあるソプラノの声の、その人物を把握した私は。
「...ふふ、あら」
鈴のような含み笑いを漏らした。
一方、その時。
「あ、貴方は...！」
「なんて無礼な言葉。身分をわきまえなさい！」
1歩遅れて、彼女を認識した取り巻き「フィーネ・ドゼル伯爵令嬢」と「クラリア・ゼファー伯爵令嬢」は、早くも彼女に噛みつき始めていた。
品がない、言葉遣いがなっていない、などなど。
まあ、言ってしまえば、確かにその通りなのだが、今の私にフィーネらと一緒になって、責めるつもりは無い。
そして当の本人、メアリーが責められているのを見過ごすつもりも。
「貴方たち、およしなさい」
決して、声を荒らげている訳でも、張り上げているわけでもない。
だがその声は、彼女達を黙らすのに、一秒とかからなかった。
「お久しぶりです。メアリー様」
ゲームにないこの展開。
けど、それもまた、一興ね。
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花音 - 初めまして♪凄く面白かったです( ≧∀≦)ノ続きがとても気になります( ;｀Д´)これからも応援してます(^○^) (2021年2月2日 0時) (
レス) id: c9954f1e86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：碧海 | 作成日時：2019年2月4日 23時
