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夏「え!やだ!A、泣いてるの?」
夏恋が慌ててふためくのが分かり、
私はティッシュで目頭をおさえた。
「夏恋……、ほんとにごめんね。インスタのこと、黙ってて……。最初はほんとに軽い気持ちで始めただけなの」
夏恋が私の腕を取って、
ベッドに座らせた。
そして、
自分も隣に座ると、真剣な眼差しを
私に向けた。
なんでだろう、
その時に私の心に広がったのは安心感だった。
夏恋が拒絶せずに、
私の話を聞こうとしてくれることが嬉しくて、
ほっとして、
逆に涙が止まらなくなった。
わたしはまるで子供のように嗚咽を漏らしながら
それでも必死に言葉を探した。
「なんかわたし、高校に入った時、
自分で友達が作れなくて、
夏恋のグループに入れてもらったでしょ?
それがすごくコンプレックスで。
でも入れてもらってるから、
空気壊しちゃいけないと思って気を遣ってたら
すごく苦しくなっちゃった時期があって」
夏「……その時に話してくれればよかったのに」
「夏恋の友達だと思うから、
悪口みたいに思われたら嫌だなって。
夏恋は上手くやってるから、
邪魔したくなかったし、
心配かけたくなかったの」
夏「……分かってたよ。Aがみんなのことが苦手なの」
「え……」
夏「そりゃいづらいよね。1人だけチア部じゃないのに、私が引きずり込んじゃってたから、悪かったなって思ってた」
「……」
夏「でも、
わたしはAも大事だけど、
チア部のみんなも大事だからさ。
うまくやってくれてるように見えたから
まぁ大丈夫かなって、
Aに甘えちゃった。
やっぱりしんどかったんだよね」
「1人になるのはやっぱり辛いから、
夏恋がそうしてくれてありがたかったの。
でも、
時々インスタで辛い気持ちとか吐き出せると
楽になってね。
それで……」
わたしは必死で言葉を探した。
言葉を繋げて、
なんとか、
夏恋に渡したかった。
分かってもらえるかはわからないけど
でも精一杯伝えなくてはと必死だった。
夏「最近全然インスタやってないんだって?」
「もうやめた」
夏「なんで?」
「……」
夏「わたしのせい?」
夏恋が傷つくと分かってて、
続けるほど私は図々しくない。
夏「涼太に聞いたよ。写真集出す話が出てるって」
「あ……」
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作者名:ゆーか | 作成日時:2018年1月23日 19時