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私ははっとする。
距離があるから、
夏恋がどんな表情をしているのかは見えない。
でも、
わたしと涼太くんが二人でいるのを
じっと見つめているのだけは分かった。
「夏恋………」
涼「え?」
私の言葉に涼太くんも夏恋の方を見た。
「あ……」
なんてタイミングの悪いんだろうと思った。
Instagramのことを知られてこじれてしまったのに
さらに涼太くんと二人でいるところを見られるなんて。
わたしがぐずぐずInstagramを
手放さないでいるから。
あのときアカウントを削除してしまえば
こんな風に涼太くんに説得されることもなかった。
そしたら、
こんな風に二人でいるところを
夏恋に見られることもなかった。
やっぱり捨てなきゃ。
消してしまわなくては。
私はスマホを取り出した。
「もう、全部いらない」
涼「A?」
「全部なくなっちゃえばいい!!」
私はそういうと、
大きく振りかぶって
用水路に向かって投げた。
涼「!!」
涼太くんが隣で仰天しているのが分かった。
くるくると回転しながら孤を描いて
飛んでいったスマホは、
数メートル先の水の中にポチャンとおちて
消えていった。
「これで、全部データが消えて、私のアカウントも消えた」
涼太くんは橋の手すりにつかまって
私のスマホが消えたあたりを
じっと見ている。
「だからもう無理。インスタのことは諦めてください」
私はそういうと、
元来た道を駆け出した。
夏恋と涼太くんを残して
すべてを置き去りにして家に帰った。
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作者名:ゆーか | 作成日時:2018年1月23日 19時