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「好き……。


ほんとに、


好きなの。


……ごめん」





そのとき、


夏恋の顔が少しだけ


泣きそうに歪んだ。




でも、



泣かなかった。





夏「だったら、良かったじゃん」





夏恋はそう言ってくれた。


色々な思いが入り混ざっているだろうに、


その気持ちに蓋をして、


祝福してくれた。





そのとき、


わたしは思った。




今だって、


夏恋は辛いのを我慢して、


わたしを祝福してくれてる。


これだって自分を


偽るってことだ。





演技してるってことだ。





でもそれは、


わたしのことを大事に思ってくれてるからこその


演技だ。






誰だって、


他人と関わろうと思ったら、


自分を押し殺して、


演技することがある。





でも、


それは嘘じゃない。


思いやりの気持ちだ。




どうして私は、


自分を偽っていることが苦しいとか


そんなことばかり考えていたんだろう。


自分の気持ち次第で、


世界の見え方はこんなにも変わるのに。






夏「あー、もう!」



夏恋が笑った。



夏「正直、

A見てたらイライラするわけ。

涼太はあんなにAが好き好きつて

態度に出してるのに、

気づかない、

っていうか気づかないふり?

なのかな、

いつも知らん顔でさ」




「わたしは涼太くんが、

夏恋のこと好きだと思ってたから……」




夏「なんで?」




「だって、

そりゃそうだよ。

二人仲良いし、

いっつもじゃれ合って……」




夏「でも、

涼太が話しかけてくるのは、

いつもAと一緒にいる時だけだよ。

わたし一人の時に、

話しかけてきたことなんてない。

Aだって、

分かってるはずだよ」




「……」




わたしは唇を噛んだ。




「わたしは夏恋の友達だから、

優しくしてくれるんだと思ってた。

私のことなんて、

気にしてるはずがないって……

だって、

私のことなんて好きになるはずない……」




夏「………あああああ!もう!」




夏恋が大きな声で叫んで、


わたしはビクッとした。




夏「もう、

どうしてAはそうなの?

わたしなんて、

わたしなんてって、なんなのよ!」




夏「じゃあ、そんなAに

頼りまくってる私はなんなのよ!

そんなAのことをあんなに

好きな涼太は、

なんなのよ!」




「夏恋……」




夏「どうして分からないの?

なんで勝手にいじつけてんのよ!」

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作者名:ゆーか | 作成日時:2018年1月23日 19時

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