保健室の。：赤 (ページ13)

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♡重岡

重岡「…俺でもええやん」

長い口づけをやっと離して俺がそう言うと、
涙を目じりにためて困った顔をしている先生。

「だめだよ、先生だもん」

俺は多分、この人に恋をした。
一目惚れなんてしたことがなくて、でもかまいたくなるし目で追いかけてしまうし、独り占めしたくなる。

ほんのりと酒の匂いがただよう先生は、いつに増して色気があって。

このまま一緒にいたら、理性が保てなくなる気がした。
もっと困らせてしまうな、と思って、俺はカバンを持つ。

重岡「帰るわ。せんせーおやすみ、またあした」

玄関に向かうと、後ろから小走りで駆け寄る足音が聞こえた。

「…まって！傘…。」

かわいらしい折り畳み傘を俺に差し出す。

その優しいところもセコいねん。

さんきゅ、といってその折り畳み傘を受け取って、
家をでようとした時だった。

「先生のことからかうのやめて、もし周りにバレちゃったら困るのは重岡くんだよ」

本気で心配している表情を浮かべて俺の目を真っ直ぐに見た。

重岡「はいはい」

ほな～、そう言って先生の家の扉を閉めた。

まんざらでもなかったくせに。

先生と生徒の恋愛なんて漫画やドラマの中での話だと思っていた。
でもいざ我が身となると堪えるものがある。

遊び感覚のはずだった。

なのに、神ちゃんの話になった瞬間、コロッと顔色を変えたことが気がかりで。

気がつけば夢中になっていた。