は じ め ま し て 、 化 物 で す 。

眠る化物と治された短刀達 ページ10

Noside



なんと、政府が柚月を治療することを拒み、
そして放置したのだ

挙げ句の果てにそのまま戦場へ向かわせる始末

だから、柊はいつも共にいる三日月に
治療できるようにやり方を教えていたのだ



三日月「ほれ、出来たぞ」




貴方「ありがとう、三日月
悪いんだけど寝るから、短刀達のこと頼んだ」



三日月「あい、わかった」



柚月が三日月の膝を借りて寝始めると
治った刀から一斉に桜の花びらが舞い始める
その舞う桜のなかから声が聞こえてきた



？「あれ、？ボクは…」



？「俺っち、折れたはずじゃ…」



？「どーなっとると？」



？「え…？」



沢山の戸惑う声と再会を喜ぶ声が聞こえている
そんななか、一振りの短刀が
柊と三日月と寝ている柚月に気づく

人間がいると気づいた瞬間
短刀達は怯えたり敵意を向けたりし始めた



柊「各々方、
少し落ち着いては下さいませんか？」



そこに凛と響く柊の声
その低さと声に含んだ圧力により
ざわめいていた短刀達は静かになった



柊「各々方が不安になることは
重々承知しております…

ですが、私達のお話を
少し聞いていただけないでしょうか？」



少しの無言
それを破ったのは短刀にしては低めの声だった



？「…俺は薬研藤四郎だ」



？「薬研兄さんっ、！？」



薬研「落ち着け、前田

…まだ、あんたらを信用した訳じゃないが
取り敢えず聞いてやる

それで、話ってのは？」



いきなり話し出した薬研を
驚きながらも止めようとする前田をなだめ、
柊の方を向いた

話を聞いてくれるとわかった柊は
声を元に戻して喋り始めた



柊「薬研藤四郎様、有り難う御座います

先ず始めに、ここで寝ている方が
新しくここの審神者となった方です。
私はそのお付きで柊と申します

そして、彼、三日月宗近様は
政府を出る際に一緒にいらした

元ブラック本丸の刀です」



ブラック本丸、という言葉に短刀達は身構えた



三日月「柊、ここから先は私が請け負おう」



柊「では、宜しくお願い致します」



三日月はひとつ頷くと短刀達の方を向き
柚月の頭を撫でながら静かに話し始めた



三日月「先ず、折れた筈の君達が生きているのは
今眠っている主が霊力を流して治したからだ」



？「…あのっ」



おずおずと虎を抱える少年が手をあげる



三日月「五虎退、どうしたのだ？」



五虎退「えっと、あのっ…
折れたら普通、治せないんじゃ…？」

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