は じ め ま し て 、 化 物 で す 。

眠る化物と今剣 ページ12

Noside



今剣「"わたしみたいなばけものが
このほんまるにきちゃって、ごめんね

にんげんじゃないかもしれないけど
それでも、にんげんだから

にんげんがこわくてきらいかもしれないけど
わたしはそれでもいいから

こわいならちかよらないし、
きらいならきらってていい

でも、まってるひとがたくさんいるのだから

わたしはくらからでないから、
いないものとしてみていいから…

もどってきて"って」



三日月「主はまたそんなことを…」



今剣から聞いた柚月の声に
三日月はかなしそうな顔をしながら
膝の上に乗っている頭を撫でた



今剣「なぜ、このにんげんは、
わるいことをしてないのに、あやまるのですか？

なぜにんげんのかたちをしているのに
ばけものというのですか？

なぜ、そこまでひっしに
ぼくたちをなおそうとしたのですか？



…ききたいことがたくさんあるのです。」



三日月「そうかそうか

…それでは今剣、
少しの間主のことをみていてくれるか？」



今剣「？」



三日月は膝の上にある頭を柚月が起きないように
ゆっくりと広げた座布団にのせた
今剣は座布団から立ち上がり寝転ぶ柚月に近寄る



三日月「少し出掛けてくるぞ

…そうだ、今剣」



今剣「どうしましたか？」



三日月「人間は確かに酷いことをして
嫌いかもしれないが
皆が皆、そうではないことを忘れるな

元主も人間だっただろう

人間を皆嫌えば、
元主も嫌いといっているようなものだ」



三日月はそういって蔵から出ていった









・








その頃柊は柚月の霊力を沢山身に纏った状態で
本丸内を歩いていた

柊が歩いた道は柚月の霊力によって
綺麗になっていく
壁に張り付いた血痕や埃、
破れた障子が直っていった



柊「…ふぅ、こんなものでしょうか」



三日月「柊」



柊「三日月様？」



一通り綺麗にした柊に
蔵からでてきた三日月は声をかけた



柊「どうなさいました？時雨様は？」



三日月「主は今剣が見ている」



柊「そうですか、それで三日月様は？」



三日月「少し本丸の様子を
見てみようと思ってな」



柊「なるほど、

そろそろ時雨様が起きることでしょうか」



柊はそういって懐中時計を見る



三日月「おそらくな」



柊は懐中時計を仕舞い、三日月の方を向く



柊「では、私は庭の方を綺麗にしてきます
三日月様は皆様の怪我の具合の確認を」



三日月「あい、わかった」



そういって二人は互いに反対方向に歩きだした

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