綺麗がきゅうじゅう、みっつ ページ45
4月。新天地での暮らしが始まった。大学の入学式は滞りなく終え、新鮮な空気の季節を迎えていた。
18年間生きた地を離れたという実感はある。大学生活が始まるというワクワクも。ここに来てからずっとフワフワしてるようで、なんだか不思議な感覚だ。
「考え事ですか端山サン」
『コーヒーが美味しいなと』
「それミルクティーだけど」
『……あんまり変わらないよ』
「ソーネ」
大学の食堂、目の前で正真正銘のコーヒーを飲む人は、私の返答など気にしていないように口角を上げた。ちゃんと話したのは大学に入ってからなのに、その食えない性格はもう嫌というほど分かってしまった。
「佐久早のこと？」
『……黒尾くんは妙に鋭くて好きじゃない』
「アラ光栄」
彼……黒尾くんと初めて出会ったのは、高校1年のインターハイ予選だった。強豪校のセッターと親しく話している人間が居て気になったらしく、ギャラリーで「飯綱くんの彼女だ」と言われたのが始まり。当然違うと否定して、それきり。会場で何度か見かける程度。
そして何故か大学で再会してしまった。私は知っているが、向こうは忘れているだろうと思っていた。けれど、黒尾くんは学部が違うくせに入学式の日に私に声をかけてきたのだ。
潔癖はだいぶ改善されたとはいえ、そもそもの性格がアレな私にまともな友達が出来るはずもなく、こうして黒尾くんと話すしかする事が無い。
「案外あっちも寂しがってるかもよ？」
『佐久早くんはバレーで忙しいから』
「インハイは？見に行く？」
『黒尾くんは』
「俺は研磨が出るから見に行くけど」
『ケンマ……あぁ、幼馴染だっけ。じゃあ私も掌誘って行こうかな』
どうせ私が誘う前にあっちから声がかかるだろうけど。
「話変わるけどさ、女子の友達作ったら？今んとこ話してんの俺だけだろ」
『……と、もだちなら…居る』
「誰？」
『高校に……』
小林さんの顔が浮かんだが、彼女を友達と呼んでいいのかは定かじゃない。色々相談に乗ってもらったが、そこまで親しいかと言われると……。
「後輩じゃん」
『……掌より厳しい』
「俺は飯綱クンみてーに甘くねーの。お母さんじゃねぇんだから」
『別に……友達居なくても生きていけるし』
「極論好きねェ……」
ちなみにこの会話、三度目である。
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すみた先生(プロフ) - 魅亜羅さん» コメントありがとうございます！ちょっとずつ進めていこうかなと思っていますので、気長に待っていただけると有難いです🙏絶対完結させます！ (12月1日 21時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
魅亜羅(プロフ) - 佐久早の恋愛のお話好きで、とても引き込まれる作品です！更新楽しみに待ってます！ (12月1日 1時) (レス) id: 5c7231855f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます！！気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります！！ (2023年1月13日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - この話、めちゃくちゃ好きです！続きが気になりすぎるっっ。楽しみにしています！！ (2023年1月12日 21時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - すみた先生さん» 「大人編も見たい」って意見しかないですもんね笑私としても嬉しいです(*´ω｀) (2022年5月7日 21時) (レス) id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年1月15日 19時
