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君が蝶屋敷を去る時、三人の女の子たちは君にしがみついて別れを惜しんでいたね。本当に、君は誰からも愛されているんだな、と思ったよ
「A、無いとは思うけど酷いことされたらいつでも帰ってきてね。私もカナヲもそう思ってる」
「……うん」
「胡蝶様もいつでも帰って来ておいでと言ってくれていたわ、私たちはいつだってあなたの味方だから」
「ありがとう」
「A、これ…」
アオイさんは普段のように振舞っていたけど隠しきれていないのがよく分かった。カナヲは君の手を取って蝶の髪留めをその手に握らせた
君は涙ぐみながらみんなに手を振ったんだ
柱稽古が始まった頃、僕はあれだけ君を他の男と会わせたくないと思っていたけど、君は疲れた隊士の為にお茶や手作りのおにぎりを存分に振舞っていたよね
そのせいで辛い稽古から逃げようと沢山の隊士が君に会いに行こうとしたから大変だったよ。隊士たちの気持ちも分からなくもないけど
ある日、僕が任務を終えて屋敷に戻った時、君が笑顔で出迎えてくれて、一段と疲れていた僕は君の元に急いで行って思わず抱き着いたことがあったよね
君はきっととても驚いていただろうけど、それでも僕を優しく抱き締め返してくれて、僕はその温かさにほっとしてつい「早く結婚したい…」なんて独り言を呟いてしまった
それが君に聞こえてしまっていたらしく、君の耳は真っ赤になっていた
「……あと三年くらい経ったら、私たち、法律的には結婚出来ますよ」
「良いんだ…?」
「言わせないでくださいよ。意地悪……」
「ごめんごめん」
何気ない日常も、君がいるのだけでかけがえのないものに変わっていったんだ
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作者名:あんもないと | 作成日時:2020年3月14日 18時