ある時は、鬼狩りとして ページ1
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初めて君と出会ったのは鬼狩りをしていた時のこと
君は人と比べて正義感が強くて、努力もする子だった。だけど君は弱かったから僕からしてみれば弱い鬼に殺されそうになっていたんだよね
「あ、ありがと……ございます」
僕が君を助けた時、君は日輪刀を両手で持ちながら震えていた。そんな君を見て僕は今まで感じたことのない気持ちになったんだ
この子を、守らなきゃ___って
自分でもよく分からなかった。だけど疑問よりも守りたいという気持ちの方が大きくなって言ったんだ。だから僕は、鬼から助けてもなお震え続ける君に言った
「向いてないよ、鬼殺隊。辞めれば?」
今思えば随分酷いことを言ったなって思うよ
そのあとも君に「下手くそ」だとか「臆病者」だとか……「そんなんじゃ人は守れない。無駄死にするだけ」なんて事も言った気がする
だってそうでもしないと、鬼が怖かったはずなのに真っ直ぐとした目でこっちを見つめる君が鬼殺隊を辞めるなんて出来ないと思って
それに、あの頃の僕は人を優しく諭す方法なんて知らなかったから
「…」
君は決して涙を流さなかったけど、目を潤ませて、自分の唇を噛んでいた。きっと悔しかったんだろう、鬼から人を守る立場の自分が鬼から守られて
「分かってますよ…。自分が弱いことくらい。だけど少しでも人を守りたいって思って辛い修行に耐えてここまで来たんです。何も知らないあなたにそんなこと言われたくない」
「だからそれが無駄だって言ってるの」
弱いくせにやたらと人を守りたがって結局自分が死ぬんでしょ?
そんなの無駄で意味が無い。自分が犠牲になるくらいなら自分を優先させるよね?君みたいな非力な隊士なんていてもいなくても変わらない。まだ隠や蝶屋敷の看護師たちのように後処理や隠蔽、隊士の治療に回っていた方が意味がある
そう言ったら君は僕を睨み付けて去っていった。涙で潤んだ瞳で。ちっとも怖くなかった
それからさっぱり君と会わなくなった
普段の僕だったらあんな出来事あっさり忘れていただろうね
だけど君の顔や声が忘れられなくて、ずっと頭の中をぐるぐるしていたんだ
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作者名:あんもないと | 作成日時:2020年3月14日 18時