動かない君 ページ28
病院に着くと両親が待合席の椅子に座っていた
どちらも悲痛な表情を浮かべていたから嫌な予感がした
「…お母さん、Aは？無事だよね？」
「…っ」
「お母さん！！ねぇったら！」
「…刀也、こっちにおいで。一緒に話を聞こう」
そう言ってお父さんは僕を病室に入れた
そこには医者がいて、隣には目を閉じて沢山の機械に繋がれているAがいた
「…A？うそ、だよね？目ぇあけてよっ…」
そう言ってもAは目を開くことはなかった
そして医者から色々な説明を受けた
Aは買い物から帰る途中、小さい迷子の女の子のお母さんを見つけようとコンビニに行ったこと
そこで運悪く強盗犯にあったこと
…小さい子を逃すために自らを犠牲にしたことを聞いた
それを聞いた時の僕の気持ちはただただ悲しかった
Aは他人に優しいから。優しすぎるから自己犠牲を働いて小さい子を助けたんだ
ただただ、涙が止まらなかった
「…そしてね、その女の子がAさんから手紙を預かっていてね。それと君へのプレゼントか鞄に入っていたらしいから君に渡すね」
そうして渡されたのは薄い紫色の便箋とラッピングされたプレゼント
プレゼントを開けると紫色の宝石が嵌め込まれたネックレスが入っていた
そして意を決して手紙を開けた
ーーーーーーーーーーー
刀也へ
たぶんこの手紙を読んでいる時、私は死んじゃってるかな？
ちょっと時間がないので手短に書くね。
刀也、ライブおめでとう！！ネックレスはそのプレゼント！ライブでつけてほしいな！
刀也はさ、自分がライバーやってたから私がこれを買いに行って事件に巻き込まれた、とか思ってるかな？
でもそれは違うからね。あそこに私がいたんだからあの子を助けられたんだよ。だからむしろありがとう。
私、刀也がライバーやってる姿が大好きなんだ。だから配信、続けてね。
はるかちゃんに手紙渡してくれてありがとうって言っておいてほしいな。
お母さんとお父さんにも今までありがとうって伝えてね。
にじさんじのライバーさんにもありがとうございますって伝えてほしいな。
これからも頑張ってね。大好きだよ。
Aより
ーーーーーーーーーーーー
「っばか。なんでっ…なんでだよっ」
その日は両親が帰った後も無理を言って、ずっとAが眠る隣で泣き続けていた
僕を置いていかないでよ、A…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 814人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神楽 - すげぇ (7月19日 21時) (
レス) @page35 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
ミミック(プロフ) - てぇてぇ (7月13日 23時) (レス) @page32 id: 552a25aaf1 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - てぇてぇ (6月27日 17時) (レス) @page33 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
ここなつぁ。 - …え。泣いたけど？泣きましたけど？双剣てぇてぇでした…。最後は感動して、泣きました((。神作でした有り難う御座います‼ (2023年4月22日 16時) (レス) @page33 id: d72a0ee724 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ていたことになってしまうと思います。もし余裕があれば訂正すると今後読む方もつっかえることなく読めると思います。素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月5日 0時) (レス) id: 00c4e4edd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るみ | 作成日時：2022年10月26日 0時
