No.10 ページ11
「遅いな」
ざわりと胸騒ぎがして、思わずそう呟いた。
エマとノーマンが届けに行ってもう20分は経った。コニーにリトルバーニーを届けるだけなら、10分もあれば十分だろう。いくらなんでも遅すぎる。
Aも行くかと2人に尋ねられた時、待っていると答えたことを俺は少し後悔していた。
ぎゅっと眉を寄せて、窓の外を見つめる。さっきから落ち着かずにうろうろしている俺とは対照的に、レイは静かに座っている。
「A、少し落ち着け。お前は心配しすぎなんだよ。そろそろ帰ってくるだろ」
ったく、と呆れた様にそう言ったレイだが、その姿に何故か俺は違和感を覚えた。レイの様子がほんの少しおかしい。落ち着いている様に見えて何か……焦ってる?
「……レイ、お前」
どうしたんだ、と続けようとした言葉は扉の開いた音によって声にならずに消えた。
「おかえり。どうだった?」
すっと体を2人に向けたレイ。2人が帰って来たことにほっとしながら俺も声を掛けようとしたが、思わず口を噤んだ。
「間に合わなかった」
2人が、ただ事では無い表情をしていたから。
間に合わなかった?だったら何故リトルバーニーを持って帰って来ていないんだ。コニーに渡せなかったんだろ?一体……何があったんだ。
言いたかったその言葉は心の中に留めて、酷く強張った顔で部屋へ戻る2人をじっと見つめた。
「……俺らも戻ろう」
「……ああ」
様子のおかしいノーマンとエマ。そしてレイ。
この日、物語の歯車がゆっくりと動き出した。
40人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユウゴ - とても面白かったです!続きを早く読みたいです。楽しみに待ってます! (2020年8月12日 21時) (レス) id: 5f014d6a1f (このIDを非表示/違反報告)
雑食(プロフ) - ますださん» ありがとうこざいます!更新本当に遅くて申し訳ないです…… (2019年6月8日 21時) (レス) id: 9861b771f6 (このIDを非表示/違反報告)
ますだ - すごく面白かったです!更新楽しみにしてます! (2019年5月29日 21時) (レス) id: 84a7c43b1d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雑食 | 作成日時:2019年4月21日 18時