〔かくりよの宿飯〕正体不明の妹の事情(3)

相変わらず ページ21

葵「相変わらずね。集中している時に近づくと容赦ない所。」


楓「ごめん・・・」






葵姉が驚いた声を上げなければ


鳩尾に何発か、鉄槌を食らわしてしまったかもしれない。


本当に申し訳ない。





現世でも、お祖父ちゃんが気を利かせてお握りを持って来た時、


勉強に集中し過ぎて


背負い投げを食らわしてしまった。




でも、そこはお祖父ちゃん。

受け身をすぐさま取って、反撃された。



って言っても足を引っ掛けられてずでっ、と転ぶだけ。


でも、その手加減が力の強さを示していた。


悔しかったなぁ。

無意識でも負けたことに。



葵「ま、いいわ。

　 ちょっと鈴蘭さんの所に行ってくる。」




かなり時間がたっていたらしい。


さくらんぼ味をつくっても、お涼と話していても


私はまっ、たく集中を解かなかったらしい。




小さい器を持つ葵姉。


その見覚えのある器に思わず、



楓「あれ?・・・」



と声を上げてしまった。



葵「あぁ、これ？

　 さっき木箱に入って置いてあったのよ。

　 きっと大旦那様ね。」



楓「ふーん。」




急ぎ足で出ていく葵姉。





もしゅもしゅ、とさくらんぼ味の豆腐アイスを味わう。

うん、美味し。


食べ終わったので辞典の近くにさっき割りそうになった器を置く。






辞典はもう全部覚えたし、鎌鼬達の所へ行こ。


体が鈍ってきたから稽古でもしてもらえるかもしれない。



っと。


手ぶらじゃ行けないよね。


サラの力を借りて、３０分・・・


うん。出来るかも。

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