継子22 ページ22
上弦の陸との戦いから、二ヶ月程経った頃。
縁側で空を見ていたら炭治郎が目を覚ましたという連絡が来た。
会いに行こうと腰を上げようとした時、後ろから抱き締められた。
杏「どこに行くんだ?」
『…少し、散歩に。』
杏「ほぅ、ならば俺も行こう。」
ぐぐぐ、と体に巻き付く師範の腕に力が入る。
杏「まだ竈門少年の事が好きなのか?」
師範の右手が唇をなぞり思わず肩を揺らす。
杏「何度も言うがお前は今、子を宿している。もう竈門少年は諦めろ。」
師範の大きな左手が私の左手を包むように握ってくる。
いつからかは分からないが、気が付くとよく左手を腹に添えていた。
嫌なはずなのにどうしても子供を気にしてしまった。
師範はまるでそれを肯定するように私の左手を包み込んだ。
杏「竈門少年とAが付き合っていたことは知っていた。お互い想い合っていたのも知っている。」
するりと髪を掬われ結上げられる。
シャラシャラと音がして、簪をつけられたのだと理解する。
杏「だが、お前は俺と千寿郎に抱かれどちらの子か分からない状態だ。そんなのでどんな顔して会うつもりだ?」
着物の上から胸をなぞられ、背筋が凍る。
杏「…昨日、お前を鬼殺隊から抜けさせた。」
『っ!?なんでっ…』
思わず振り返った時、左手を持ち上げられ薬指に口付けられ言葉が止まる。
杏「俺はAの腹にいる子がどちらの子でも構わない。また孕ませればいい事だからな。
だが、お前が鬼殺隊にいる限り子供は一人になる。いつ死ぬか分からないのに子供を置いて戦えるのか?」
言葉に詰まる。
親がいない。
その気持ちは痛いほど分かる。
私の両親は鬼殺隊だった。
だが、私が幼い頃鬼に喰われて死んでしまった。
その時、両親の師範だった鱗滝さんに引き取ってもらったのだ。
言い返せず、俯いているとそっと正面から抱き締められる。
『……師範。』
杏「杏寿郎と。近いうちに祝言を挙げよう。竈門少年の事は忘れるんだ。いいな?」
『……はい。』
これ以上炭治郎に執着してはいけない。
炭治郎の人生を壊してしまう。
あぁ。
いっその事全て忘れられたらいいのに。
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ホノハ - 煉獄さんが怖いけど、そこもいい!! (2021年11月11日 18時) (レス) @page9 id: 8dccd387ce (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - きなこむしさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたようで何よりです!!!読んで下さりありがとうございました!!! (2021年1月29日 10時) (レス) id: cae380dc3e (このIDを非表示/違反報告)
きなこむし - 煉獄さんは純愛じゃなくヤンデレ一択!しかも千寿郎君もヤンデレ?兄弟で素晴らしいです!ぜひまたの作品を楽しみにしています!素敵な作品ありがとうございました (2021年1月29日 0時) (レス) id: 965738ec66 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - 澪さん» そんな事無いですよ。褒めていただいて嬉しいです!ありがとうございます!!! (2020年3月20日 21時) (レス) id: cae380dc3e (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 椿さん» いえいえ!!椿さんの神小説が表現力と語彙力が激高過ぎたので影響されたのかもしれないですね!(>v<# (2020年3月20日 20時) (レス) id: 001cac99b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2019年11月15日 19時